福島原発事故以降、脱原発を決めているスイスでは、北部ドイツの国境付近に、核廃棄物の「深地層処分場」を建設する計画があるが、ドイツでは、施設の安全性や飲み水への影響が懸念されているという。
9月11日付英
『Guardian』:「スイスが核のゴミ貯蔵地としてドイツ国境付近を選定」:
スイス当局は、放射性廃棄物の深地層処分場として、北部ドイツ国境に近い場所を選定した。スイスは最良な貯蔵場所を50年近く調査してきたが、使用済み核燃料を地下深くに粘土で埋める「世紀のプロジェクト」が進展をみせている。
プロジェクトを主導する放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は10日、地下貯蔵施設の3つの候補地のうちネルドリッヒ・レーゲルン地域が最も最適だと決定したと発表。...
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9月11日付英
『Guardian』:「スイスが核のゴミ貯蔵地としてドイツ国境付近を選定」:
スイス当局は、放射性廃棄物の深地層処分場として、北部ドイツ国境に近い場所を選定した。スイスは最良な貯蔵場所を50年近く調査してきたが、使用済み核燃料を地下深くに粘土で埋める「世紀のプロジェクト」が進展をみせている。
プロジェクトを主導する放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)は10日、地下貯蔵施設の3つの候補地のうちネルドリッヒ・レーゲルン地域が最も最適だと決定したと発表。NAGRAは、「深層貯蔵には最も安全な場所」だとしている。NAGRAは同地域の住民に直接通知をしたとしている。
スイス政府は2029年までに最終決定を下すとしているが、スイスは直接民主制のため、この問題について国民投票が行われる場合は、それも変わる可能性もある。
2011年に起きた福島原原発の事故を受け、原発の段階的廃止を決定したが、原子炉は安全性が保たれる限り稼働は継続されている。現在、廃棄物はドイツ国境から15キロにあるヴュレンリンゲンに一時貯蔵されている。厳重なモニタリングを経て、地下への埋蔵は2060年までに開始されるとみられ、22世紀中には、封鎖されるとされている。
世界では現在、フィンランドのみが深地層処分場建設を完了、スウェーデンは1月承認が下りたところで、フランスでも放射性廃棄物を地下に粘土で埋める計画がある。
同日付ドイツ『DW』:「スイス、核の廃棄処分場をドイツ国境付近に建設予定」:
スイスの核処理施設計画に対し、ドイツ国境付近では安全性への懸念が高まっている。
スイス連邦エネルギー局によると、この計画は、放射性廃棄物の処理問題にあたるスイス政府と発電所職員からなる放射性廃棄物管理共同組合(NAGRA)によるもので、チューリッピの北方、ドイツ国境に近くが予定地となっている。廃棄物は地下数百メートルで、オパリナス粘土で固められるという。
現在スイスでは原子力発電所が4ヶ所で稼働しており、安全性に問題が生じない限りは2040年代まで稼働が継続される。また、使用済み核燃料など放射性廃棄物のためのいわゆる「深地層処分場」には、 スイス政府と議会の両方での承認が必要で、このプロセスには数年かかるとみられている。
一方、国境付近のドイツの地域では懸念が高まっている。懸念は主に、施設の安全性へ不安や飲料水供給の問題で、ドイツ連邦環境省はこのスイスの決定を批判している。他の2つの候補地も、ドイツ国境に近い。ドイツでは、賛否のある高放射性廃棄物の埋蔵地の決定は、最低でも2031年まで議論されない。
NAGRAは2024年までに承認の申請を行う予定だとしている。スイス政府の決定後、議会での承認を待つことを考慮すると、貯蔵施設は2050年頃まで始動しないとみられる。
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