世界中でエリザベス2世の崩御を悲しんでいるが、反民主化を標榜する中国及び香港行政府は違っている。この程、香港人男性が、在香港英国総領事館前で女王への追悼を込めて楽曲を演奏していたところ、治安妨害罪容疑で逮捕されてしまった。
9月20日付米
『AP通信』は、「香港人男性、女王追悼の楽曲を演奏して当局に逮捕」と題して、在香港英国総領事館前で、エリザベス2世の崩御を追悼するべく楽曲を演奏していたところ、当該曲が暴動を扇動する恐れがあるとして当局によって逮捕されたと報じている。
43歳の香港人男性が9月19日夜、在香港英国総領事館前でエリザベス2世を追悼していたところ、治安妨害罪容疑で当局によって逮捕されてしまった。...
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9月20日付米
『AP通信』は、「香港人男性、女王追悼の楽曲を演奏して当局に逮捕」と題して、在香港英国総領事館前で、エリザベス2世の崩御を追悼するべく楽曲を演奏していたところ、当該曲が暴動を扇動する恐れがあるとして当局によって逮捕されたと報じている。
43歳の香港人男性が9月19日夜、在香港英国総領事館前でエリザベス2世を追悼していたところ、治安妨害罪容疑で当局によって逮捕されてしまった。
地元紙報道によると、当該男性は追悼のために集まっていた人々の前で、2019年に発生した民主化運動の際に流行った「香港に栄光あれ(注後記)」等の楽曲をハーモニカで演奏していたという。
SNSに投稿されたビデオ映像によると、多くの人たちが演奏に合わせて歌っていた。
香港警察は9月20日、“治安妨害を企む意思を持って”演奏した疑いがあるとして逮捕したと発表したが、その他詳細は一切明らかにしていない。
香港は、1997年に中国に返還されるまで、長い間英国統治下にあったことから、多くの市民が依然“女性君主”としてエリザベス2世を慕っており、直近数日間も英国総領事館前に数千人が弔問に訪れ、献花して女王を追悼していた。
なお、香港当局はこの逮捕事案が起こる前までは、規則に従って粛々と哀悼の意を表することは大目に見ていた。
9月21日付フランス『AFP通信』は、「香港当局、エリザベス2世の通夜に合わせてハーモニカ演奏した男を逮捕」として、当局の横暴について報じた。
香港当局及び地元メディアによると、エリザベス2世の国葬に合わせて在香港英国大使館前に追悼のために訪れていた香港人男性が、治安妨害罪容疑で逮捕されたという。
9月19日晩には、女王を追悼する多くの人が集まっていたが、その場で取材に当たっていた『AFP通信』記者は、当該男性が哀悼の意を表するべく、英国国歌や「香港に栄光あれ」等をハーモニカ演奏したと伝えた。
地元紙報道写真によると、香港警察官が当該男性に誰何した後に逮捕している。
当局は9月20日、苗字が彭(ペン)という容疑者が“暴動を扇動しようとした”疑いがあると発表した。
「香港に栄光あれ」は2019年の民主化運動の際にしばしば歌われたが、香港地裁は治安妨害罪で容疑者を裁く際、当該曲内の“香港に自由を、我々の革命だ”との詩が社会治安の脅威となると判断している。
(注)「香港に栄光あれ」:2019年に発表された広東語の楽曲。同年の香港での逃亡犯条例改正案に巡るデモをきっかけに作られたもので、デモ参加者にとってのテーマソング、あるいは非公式な国歌に相当するものとして扱われ、2019年9月以降頻繁に歌われるようになった。しかし、香港特別行政区全国人民代表大会代表(国会に相当)は、当該曲を「香港独立」思想を広める曲だと主張し、目の敵にしていた。
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