習近平国家主席(シー・チンピン、69歳、2012年就任)は、9月中旬にウズベキスタンで開催された上海協力機構(SCO、注後記)に出席した後、暫く消息不明となっていた。来月中旬の重要な中国共産党大会を控えた時期であったため、失脚かとの根拠のない噂まで飛び出したが、この程10日ぶりに表舞台に登場している。
9月28日付米
『AP通信』は、「習国家主席、消息不明との噂が飛び交う中、漸く国営テレビに登場」と題して、習近平国家主席は、来月中旬に開催される中国共産党大会において異例の3期目の続投が決定されると予想される中、暫くの間消息不明となったことから、失脚かとの根拠のない噂まで飛び出したが、10日ぶりに表舞台に姿を現したと報じている。
習近平国家主席は9月27日、約10日振りに表舞台に登場した。
北京で開催された、「新時代への邁進」と題する展覧会を視察したもので、李克強首相(67歳、2013年就任)他幹部を従えた姿が国営テレビで報じられた。
同国家主席は9月中旬にウズベキスタンで開催されたSCOに出席した後、暫く公から姿を消していた。
現下の中国新感染症防止対策“ゼロコロナ政策”上、国家主席と言えども帰国後1週間は自主隔離が必要であるが、経過後数日経っても消息が不明であった。
中国では、政権への如何なる異議も冷酷に取り締まられているが、しばしば内紛とかクーデターとかの噂が飛び出す不可解な事態が起こっている。
今後の指導体制が決定される10月16日開催の中国共産党大会直前に、習国家主席が数日間表舞台から消えたことから、またぞろ失脚かとの根拠のない噂まで飛び交っていた。
キングス・カレッジ・ロンドン(1829年設立の国立大学)中国研究専門のケリー・ブラウン教授は、“もし中国上層部の中で習氏に対する不満が高まっているならば、何らかの兆しが見えるはずだ”とし、“何ら動きが見えない以上、(習氏失脚等)何も起こらないと思う”とコメントした。
更に、内紛とかクーデターとかの噂に対して、中国人民解放軍は習国家主席の反腐敗運動の賜物で、厳しい管理下に置かれてしまっている、とし、“仮に(失脚等の)そのような声が上がっているとすれば、中国中央ではなく、香港とかその他中央政府に厳しく取り締まられているところから上がったものとみられる”とも付言した。
同日付香港『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』紙は、「習国家主席、再び公に姿をみせる」として、暫く姿をみせていなかったものの、習国家主席が中央政府幹部を引き連れて表舞台に登場したと報じている。
習国家主席が9月27日、北京で開催されている展覧会に現われた。
国営『新華社通信』によると、同国家主席が、過去10年間で中国が成し遂げた業績を振り返る「新時代への邁進」と題する展覧会を視察したという。
また、同国家主席には、中国共産党中央政治局(党を指導し、政策を討議・決定する機関、トップ25人で編成)の幹部十数人が随行していたと報じている。
同国家主席は、9月中旬に新規感染症問題発生以来2年振りとなる外遊を行って帰国したが、10日間公に姿をみせていなかった。
同国家主席は展覧会視察の際、指導部が“政治、経済、イデオロギーや自然界がもたらした試練に耐え、歴史的業績を収めた”と強調した。
その上で、自らが掲げてきた“社会主義現代化強国”の実現目標や政治理念の“中国の特色ある社会主義”について、“新たな一章を記し、新たな勝利を奪取しなくてはならない”とも付言している。
なお、かかる報道記事から、専門家は、来月の党大会での異例の3期目続投が益々盤石となったとみられるとコメントしている。
(注)SCO:中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8ヵ国による多国間協力組織、もしくは国家連合。2001年設立(1996年前身の「上海ファイブ」設立)。上海で設立されたために「上海」の名を冠するが、本部(事務局)は北京。
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