フィンランドはロシアからヨーロッパへの抜け道として重要な入国地点となっていたが、ロシア人入国者の制限を発表、ロシアの軍事動員を逃れEU諸国をめざす最後のルートが閉ざされた。
9月29日付英
『BBC』:「ウクライナ戦争︰フィンランドがロシア人観光客の入国制限」:
フィンランドがロシア人の観光目的の入国を30日から制限する。ロシア近隣のEU加盟国としては最後となる。フィンランドの親族訪問や、就労、就学が理由での入国は受け入れが続いている。
ロシアのプーチン大統領が30万人の予備兵動員を発表したのを受け、多くのロシア人が国境に殺到したことで、ロシア国境付近では国外に出ようとする人が殺到。...
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9月29日付英
『BBC』:「ウクライナ戦争︰フィンランドがロシア人観光客の入国制限」:
フィンランドがロシア人の観光目的の入国を30日から制限する。ロシア近隣のEU加盟国としては最後となる。フィンランドの親族訪問や、就労、就学が理由での入国は受け入れが続いている。
ロシアのプーチン大統領が30万人の予備兵動員を発表したのを受け、多くのロシア人が国境に殺到したことで、ロシア国境付近では国外に出ようとする人が殺到。渡航ビザを必要としないジョージアとの国境でも同じように長い列ができているという。フィンランドは、ロシアと1300キロ国境を接しており、渡航ビザなく入国できる。
29日、フィンランドのペッカ・ハーヴィスト外相は記者会見で、30日深夜から開始される入国制限には、動員令が大きく影響しており、この決定は現在の入国状況への対策だとしている。ヨーロッパ各国を自由に行き来できるシェンゲン協定による観光ビザでの入国も禁止される。外相は、ロシア人の流入は、フィンランドの各国との国際関係を脅かすものだとも危惧している。
今月初頭、EU諸国も、ロシアとの査証協定を停止することで、ロシア人のビザ取得手数料を引き上げるなどして、ビザ取得をより難しいものにしている。ウクライナ侵攻以降、EU諸国に渡航したロシア人は100万人以上とされる。ロシアと国境を接するポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニアも、既にロシア人の入国を制限している。
ノルウェーも、短いながらも、ロシアと国境を接している。EU加盟国ではないが、シェンゲン協定域内にあたり、ビザを所得したロシア人が、同国を経由しEU諸国に渡ることが可能となる。しかし先週、ロシアとのビザなし渡航は停止された。ノルウェーでも、動員令後、ストルスコグ国境検問所でのロシア人入国者が微増したと報じられている。
同日付米『ニューヨーク・タイムズ』:「フィンランドがロシア人観光客の入国を禁止」:
フィンランドが29日、ロシア人入国者の制限を発表、ロシアの軍事動員を逃れEU諸国をめざす最後のルートが閉ざされた。まだ就労や就学などの「人道的理由」による入国は許可されているが、入国者は激減するものとみられている。
フィンランドはロシアからヨーロッパへの抜け道として重要な入国地点となっていた。欧州国境沿岸警備機関(FRONTEX)によると、先週はヨーロッパに渡った6.6万人の3分の2が、フィンランドからの陸路で入ったという。フィンランドに観光ビザで入国する人のほぼ8割が他国へ向かうという。
フィンランド政府はロシア人観光客の制限策を検討してきたが、今月のプーチン大統領による動員令が、決定への「大きな影響力」となったとする。動員令により、ロシア人男性はウクライナ戦争への派遣を逃れようと国外脱出を図っている。
フィンランドの外交政策は、ロシアという近隣大国に常に影響を受けてきた。ウクライナ侵攻後は早急に安全保障強化を目的として中立と軍事非同盟戦略を転換、6月にはNATO首脳が正式にフィンランドとスウェーデンの加盟に合意している。
ロシア人の入国は週末をピークに減少。政府統計によると、27日の入国者は7000人で、ロシアへの入国の2倍だったが、ロシアが男性兵役対象者の国境へのアクセスを制限し始めたことで、28日には4700人に減った。フィンランドは今月既に、ロシア人への観光ビザ発行数を90%減らし、滞在日数もわずか100日としている。
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