ジョー・バイデン大統領(79歳、2021年就任)は先月末、南太平洋地域14ヵ国の首脳をワシントンに呼びつけ、「米・太平洋諸国パートナーシップ(USPP)」と銘打った新機構を結成した。しかし、USPP戦略宣言採択に当たっては、当初から中国急接近のソロモン諸島(1978年英連邦王国として独立)が、同首脳会議への出席はもとより、当該宣言への署名にも否定的であった。しかし、最終的には、同宣言から中国言及個所が省かれることになったことから、同国が署名するに至ったという。
10月4日付米
『AP通信』は、「ソロモン諸島、中国言及が抜けたことからパートナーシップ協定に署名」と題して、米国主導で開催・提案されたUSPPに関して、中国急接近のソロモン諸島を慮り、当該戦略宣言から中国言及を取り止めることになったと報じている。
ソロモン諸島外相は10月4日、米国及び十数ヵ国の太平洋島嶼国の間で取り交わされることになったUSPP戦略宣言に関し、当初の宣言案から中国言及個所が省かれたため署名することにしたと経緯を説明した。...
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10月4日付米
『AP通信』は、「ソロモン諸島、中国言及が抜けたことからパートナーシップ協定に署名」と題して、米国主導で開催・提案されたUSPPに関して、中国急接近のソロモン諸島を慮り、当該戦略宣言から中国言及を取り止めることになったと報じている。
ソロモン諸島外相は10月4日、米国及び十数ヵ国の太平洋島嶼国の間で取り交わされることになったUSPP戦略宣言に関し、当初の宣言案から中国言及個所が省かれたため署名することにしたと経緯を説明した。
ジェレミア・マネレ外相(54歳、2019年就任)がウェリントン(NZ首都)において記者団に語ったもので、“USPP宣言案には当初、(中国を選択するのかどうか等)二者択一が迫られるような表現があったため、そのような態度表明はできない”としていたと言及した。
今回の同外相の表明は、同国が当該宣言案に難色を示していたことを公に認めたことを意味する。
当該USPP宣言は先週、ジョー・バイデン大統領主催により、ワシントンで開催された太平洋島嶼国との首脳会議において採択されたもので、米国の同地域でのプレゼンス強化と共に相互協力関係の構築が謳われている。
具体的には、米国が今後10年間で太平洋島嶼国に8億1千万ドル(約1,175億円)を支援することとされたが、但し、米国の対中国牽制意向については直接的言及を避け、気候変動・経済成長・自然災害への支援に注力することが言及されるに留まった。
なお、安全保障についても少々触れられたが、ロシアによるウクライナ軍事侵攻を非難するという表現に止まり、中国の名前は一切表記されなかった。
同日付NZ『スタッフ』オンラインニュース(2000年設立)は、「ソロモン諸島外相、“二者択一”には従わないと表明」として、米国主導のUSPP戦略宣言文から中国名を除外するよう強く求めたと報じている。
ソロモン諸島のジェレミア・マネレ外相は10月4日、NZのナナイア・マフタ外相(52歳、2020年就任)とウェリントンで会談した際、同国は“二者択一”をすることはなく、米中両国とそれぞれ友好関係を築きたい旨表明した。
同外相は、先週にワシントンで開催された米・太平洋諸国首脳会談におけるUSPP戦略宣言について言及したものである。
同外相は、今年3月に中国と締結した安全保障条約の下で、同国が中国軍に基地を提供することはないと改めて強調した上で、USPP戦略宣言の原案に中国について間接的に批評する表現があったので、これを削除するよう要求したとし、この要求が通ったことから当該宣言に署名したと説明した。
同外相は更に、“我が国は米国が改めて太平洋島嶼国に対して強い支援を表明してくれたことを称賛している”とした上で、“将来、同地域の平和と安定、及び相互協力関係が構築されることを願っているが、同地域において対立・衝突、更には戦争が起こることは全く望んでいない”とも強調した。
なお、同外相はNZ外相との会談で、NZ政府に対して、二国間の航空便就航について前向きに検討するよう依頼している。
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