米国政府の統計によれば、中国との財の貿易赤字は、2016年に既に3,470億ドル(約38兆5,000億円)に上っている。2017年通年の貿易統計はまだ公表されていないが、中国との貿易については、大きな赤字となりそうだ。
昨年の世界経済は広く拡大基調を示し、好調さを維持したが、中国政府の統計によれば、同国もこの恩恵を受けて、輸出が全体で11%増加した。米国向けの輸出がその多くを占めているという。...
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米国政府の統計によれば、中国との財の貿易赤字は、2016年に既に3,470億ドル(約38兆5,000億円)に上っている。2017年通年の貿易統計はまだ公表されていないが、中国との貿易については、大きな赤字となりそうだ。
昨年の世界経済は広く拡大基調を示し、好調さを維持したが、中国政府の統計によれば、同国もこの恩恵を受けて、輸出が全体で11%増加した。米国向けの輸出がその多くを占めているという。
エコノミストらはそれだけでは全体像がわからないとしているが、トランプ大統領は、米国の貿易収支を、他国との経済上の関係を測る重要な物差しとして注目している。トランプ氏は、中国等他国との不公平な貿易慣行に強硬姿勢を示し、赤字幅を縮小することなどを重要公約として当選したが、その後中国を「為替操作国」と認定することや、中国製品に対し高率の関税を課すことなどの措置は控えている。
専門家らは、今年状況が悪化することを懸念しているという。中国側の貿易黒字の拡大により、両国間の貿易摩擦が一段と激化する可能性がある。トランプ大統領が、様々な中国製品に対し関税を課すことも考えられ、その場合には、中国から報復を受けることもあり得る。
さらに、もし予想されている通り、中国経済が今年減速すれば、米国の貿易赤字がさらに拡大する可能性もある。エコノミストらは、今年の中国経済の成長率を6.4%と、2017年の約6.8%から減速すると予測している。中国の企業の投資や消費者の消費は抑制され、米国からの輸入品などの需要も減少するおそれがある。
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