ロシア軍のスパイが平昌冬季五輪組織委員会の数百台のコンピュータに対するサイバー攻撃を行い、それを北朝鮮の仕業に見せようとしていたと、米紙ワシントンポストが25日、米情報当局者の話として報じた。これを受けて各国メディアが速報している。
韓国は以前、開会式が行われた2月9日に五輪関連の複数のサイトと放送システムが機能停止に陥った件を調査していると明かしていたが、ポスト紙の報道では、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)が2月初旬、五輪組織委員会関連の約300台のコンピュータに侵入した結果、観客が開会式のチケットを印刷できなくなり、多くの空席が出たという。
同紙はさらに、1月にロシアが韓国のコンピュータのルーターをハッキングし、2月9日にデータを収集しネットワークを麻痺させることを可能とする一種のマルウェア(悪意あるソフトウェア)を埋め込んだとしているが、その際に北朝鮮のインターネット・プロバイダーを使い、「フォールス・フラグ・オペレーション」(偽旗作戦)という手法により、攻撃元が北朝鮮に見えるようにしたと伝えている。...
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韓国は以前、開会式が行われた2月9日に五輪関連の複数のサイトと放送システムが機能停止に陥った件を調査していると明かしていたが、ポスト紙の報道では、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)が2月初旬、五輪組織委員会関連の約300台のコンピュータに侵入した結果、観客が開会式のチケットを印刷できなくなり、多くの空席が出たという。
同紙はさらに、1月にロシアが韓国のコンピュータのルーターをハッキングし、2月9日にデータを収集しネットワークを麻痺させることを可能とする一種のマルウェア(悪意あるソフトウェア)を埋め込んだとしているが、その際に北朝鮮のインターネット・プロバイダーを使い、「フォールス・フラグ・オペレーション」(偽旗作戦)という手法により、攻撃元が北朝鮮に見えるようにしたと伝えている。
引用されている米情報当局者は、ロシアのハッカーらがマルウェアを起動させたかどうかについては言えないとしたが、国家ぐるみのドーピングを指摘され、国としての出場を禁止されたことにより、サイバー攻撃をしかけることは、懸念すべきことであると述べた。
実際、本サイバー攻撃は、出場禁止処分に対する報復と考えるアナリストもいる。個人としての出場を許されたロシア人選手は同国代表ではなく、「ロシア出身の五輪アスリート(OAR)」という区分での参加となった。ロシアは攻撃への関与を否定しているが、北朝鮮は南北の融和を目的に五輪を利用しているため、主犯格とは考えにくい面がある。
平昌冬季五輪は、朝鮮半島の緊張を緩和する動きとして、南北選手団が開会式で共に行進し、女子アイスホッケーの合同チームを形成した。北朝鮮の金正恩委員長の妹の金与正氏が韓国入りして注目を集め、同国から派遣された大応援団も強烈な印象を残した。
25日の閉会式には、北朝鮮から金英哲副委員長が出席した。同氏は2010年の韓国海軍の哨戒艦「天安」号が魚雷により沈没し、46人が死亡した事件など、韓国への一連の攻撃に関与した人物とされており、事件の死者の遺族や野党を中心に世論の強い反発もあったが、韓国政府は朝鮮半島の平和や南北関係の改善を優先したと説明し、押し切った。
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