米国の労働組合の中央組織である米労働総同盟産別会議(AFL-CIO)が22日に公表したデータによれば、米主要企業の最高経営責任者(CEO)の報酬の平均は、2017年には約6%増加して1,394万ドル(約15億2,700万円)となった。これは一般労働者の給与収入の361倍となり、格差が拡大していることが判明した。
AFL-CIOの「企業幹部の報酬監視(Executive Paywatch)」によれば、「S&P500」株価指数を構成する米主要企業のCEOの年間報酬の中央値は、昨年1,394万ドル(約15億2,700万円)に上った一方、生産部門で非管理職の従業員の年収の中央値は、約3万8,613ドル(約423万円)だった。企業のCEOと一般労働者との所得格差は1950年代には20倍程度だったが、これが昨年には約361倍に広がっていたことが明らかになった。...
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AFL-CIOの「企業幹部の報酬監視(Executive Paywatch)」によれば、「S&P500」株価指数を構成する米主要企業のCEOの年間報酬の中央値は、昨年1,394万ドル(約15億2,700万円)に上った一方、生産部門で非管理職の従業員の年収の中央値は、約3万8,613ドル(約423万円)だった。企業のCEOと一般労働者との所得格差は1950年代には20倍程度だったが、これが昨年には約361倍に広がっていたことが明らかになった。
S&P500企業の内、CEOと一般従業員との所得格差が最も大きかったのは、カリフォルニア州に本拠を置く玩具メーカー大手のマテルだった。マレーシア製造部門の従業員の年収が一般従業員の中央値で、6,271ドル(約68万7,000円)だったのに対し、同社CEOの年収は、その4,987倍だった。
一方、著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイのCEOと、同社一般従業員との所得格差は、全てのS&P500企業の中で最低の約2倍だった。こうしたことが、バフェット氏の根強い人気を物語っているのかも知れない。
一般労働者の平均賃金は、物価上昇分を調整すると、この50年間殆ど停滞しており、企業の増収の恩恵を殆ど受けていないことがわかる。AFL-CIOは、賃金停滞の理由として、国内の高賃金職種のアウトソーシングが増加していることを挙げている。
AFL-CIOのリズ・シュラー財務書記は、「今年の報告書は、米国の所得格差が危機状態にあることを改めて示すものとなった。」と指摘した。シュラー氏はさらに「我が国の経済は、消費者が使う金を持っている時に最もよく機能する。つまり労働者のために賃上げを行い、手に負えない役員報酬を抑制するということだ。」と説明している。
米公共放送PBSの番組が、CEOと従業員の大幅な所得格差は、企業に対する興味を失わせると報じた。ある調査によれば、米国の消費者は、タオルからテレビまでどんな製品であっても、所得格差がより小さい会社の製品を、たとえ高くても買う傾向にあるという。
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