イタリアのトリア経済・財務相は13日、訪仏を取りやめ、同日午後にパリで予定されていたフランスのルメール財務相との会談を延期した。イタリアの新政権が移民の救助船の受け入れを拒否したことを巡り、両国間で激しい非難の応酬が続いており、イタリアでは、15日の両国首脳会談も中止すべきとの声も出ている。
今月発足したイタリアのポピュリズム(大衆迎合主義)のコンテ連立政権は、リビアの海岸で民間の救助船「アクエリアス」が助けた移民629人の上陸を拒否した。地中海の国マルタも拒んだため、同船は一時行き場を失ったが、最終的に同じく今月発足したスペイン中道左派のサンチェス政権が受け入れを表明し、16日にも同国東部のバレンシアに入港する見通しである。
マクロン仏大統領は、イタリアの同船の受け入れ拒否について、「現実から目を背けた無責任な対応」と批判した。...
全部読む
今月発足したイタリアのポピュリズム(大衆迎合主義)のコンテ連立政権は、リビアの海岸で民間の救助船「アクエリアス」が助けた移民629人の上陸を拒否した。地中海の国マルタも拒んだため、同船は一時行き場を失ったが、最終的に同じく今月発足したスペイン中道左派のサンチェス政権が受け入れを表明し、16日にも同国東部のバレンシアに入港する見通しである。
マクロン仏大統領は、イタリアの同船の受け入れ拒否について、「現実から目を背けた無責任な対応」と批判した。同大統領のコメントは、イタリアの激しい反応の呼び水となり、伊政府は13日、容認できないとして仏大使を呼び出している。伊外務省は声明で、そのような発言は両国関係を傷つけるものとして、厳しく抗議した。
コンテ伊政権は、ポピュリズム政党「五つ星運動」と極右「同盟」の連立政権だが、同盟党首のサルビーニ副首相兼内相は、移民排斥主義で知られており、「アクエリアス」の上陸拒否を主導したと言われる。サルビーニ内相は、もしフランスが「公式の謝罪」をしなければ、今月末の欧州連合(EU)首脳会議に先立ち、15日に予定されているコンテ首相とマクロン大統領の首脳会談を中止すべきとの考えを示した。首脳会談では移民問題が主要議題になると見られている。
一方、フランス政府は13日、トリア伊経済・財務相の訪仏延期に遺憾の意を表し、イタリアと協力し対話を続けていく意向を示した。仏外務省の報道官は、イタリアがアフリカからの移民の流入に対処する中で、受ける圧力を「完全に認識している。」と述べた。
今回のイタリアの救助船受け入れの拒否により、移民問題を巡る欧州各国の対応や立場の違いが改めて浮き彫りになった。ドイツのメルケル首相は13日、移民問題については加盟各国の国益を考慮し、EUが結束して取り組む必要性を訴えている。オーストリアのクルツ首相は同日、EUへの不法移民に対し、内相が厳しい態度を取る同国、ドイツ、イタリアなどの枢軸が必要であると主張した。
閉じる