米国の名門大学であるハーバード大に対し、アジア系の入学志願者を不利に取り扱っているとの訴訟が提起されている。同大学は2013年に入学審査基準の内部調査を実施し、アジア系の学生に対する不利な取り扱いを認識していたことを示唆する報告書が、15日にマサチューセッツ州ボストンの連邦地裁に提出された。多くの米メディアが報じている。
今回報告書を提出したのは、公正な入学審査を求める非営利団体「SFFA(Students for Fair Admissions)」である。SFFAは、ハーバード大が優秀なアジア系志願者の入学を減らし、他の人種グループを優先しているとして2014年に訴訟を提起した。
SFFAは、2000~15年の16万人以上の同大入学志願者のデータを分析し、アジア系の学生が、好感が持てるか、親切か、広く尊敬されるか等の「人格」(Personality)の項目で低い点数を付けられていたと主張している。...
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今回報告書を提出したのは、公正な入学審査を求める非営利団体「SFFA(Students for Fair Admissions)」である。SFFAは、ハーバード大が優秀なアジア系志願者の入学を減らし、他の人種グループを優先しているとして2014年に訴訟を提起した。
SFFAは、2000~15年の16万人以上の同大入学志願者のデータを分析し、アジア系の学生が、好感が持てるか、親切か、広く尊敬されるか等の「人格」(Personality)の項目で低い点数を付けられていたと主張している。
アジア系志願者は、他の人種グループの志願者より、試験の成績や課外活動などの評価項目において優れているにもかかわらず、人格面での低評価により、入学を認められる人数が大きく減っている。人種が問われなければ、全体人数の26%を占める筈だが、ハーバード大の基準により19%に低下しており、同大は不変の人種構成を守っているという。
裁判所に提出された報告書によれば、ハーバード大は2013年に入学審査基準の内部調査を実施し、アジア系の学生に対する不利な取り扱いを認識していたにも関わらず、その調査結果を公表せず、是正措置も取らなかったとされている。
報告書ではまた、ハーバード大以外の多くのアイビー・リーグの名門校についても、志願者の人種構成が変化しているにも関わらず、入学者は人種的に同様の割合が保たれているとして、そうした割合の根拠についても疑問を投げかけている。
これに対し、ハーバード大は自ら調査を行った結果を提出し、声明で「2013年の調査は初期段階のもので、不完全だった。徹底的・包括的な分析により、アジア系の志願者を含むいかなるグループに対する差別もしていないことが明らかになっている。アジア系志願者の入学率はこの10年で29%増加した。」と強く反論している。SFFAの「重要なデータや情報などの要素を取り除いた不完全で誤解を招くデータ分析により、当大学の全人格的な入学審査手続について、危険なまでに不正確なイメージが描かれた。」と指摘した。
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