2016年の米大統領選へのロシア介入疑惑を捜査していた米連邦捜査局(FBI)幹部が、同年3月にFBI同僚と、トランプ候補(当時)をこき下ろすメール交信をしていたことが判明し、目下米司法省監察官による取り調べが進められている。共和党議員は挙って、クリントン候補(当時)の国務長官時代のメール問題の捜査結果は、同幹部が捜査の指揮を執っていたことから歪められたと非難しているが、同監察官は今のところこれを否定している。なお、同幹部は懲戒処分に当るかどうかの取り調べが済むまで、依然FBI職員に留まっており、また、取り調べ時の移動には暴漢対策のための護衛付きである。
6月19日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「クリントン元国務長官のメール問題捜査担当のFBI捜査官、懲戒の是非取り調べ中で移動に護衛付き」
FBI幹部のピーター・スツォク副次長補は、2016年3月にFBIの同僚と、トランプ候補(当時)をこき下ろすメール交信をしたことが発覚して、現在司法省監察官によって取り調べられている。
同氏はかつて、ヒラリー・クリントン候補が国務長官時代に起こしたメール問題の捜査の指揮を執っていたことから、同捜査結果に公正さを欠いたおそれがあると非難されている。...
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6月19日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』:「クリントン元国務長官のメール問題捜査担当のFBI捜査官、懲戒の是非取り調べ中で移動に護衛付き」
FBI幹部のピーター・スツォク副次長補は、2016年3月にFBIの同僚と、トランプ候補(当時)をこき下ろすメール交信をしたことが発覚して、現在司法省監察官によって取り調べられている。
同氏はかつて、ヒラリー・クリントン候補が国務長官時代に起こしたメール問題の捜査の指揮を執っていたことから、同捜査結果に公正さを欠いたおそれがあると非難されている。
更に同氏は、クリントン候補の事件捜査後、2016年大統領選へのロシア介入疑惑問題を捜査するロバート・マラー特別検察官のチームに属していた。
同氏は、トランプ候補に関わる不適切なメール交信問題が発覚して、マラー特別検察官から任を解かれ、FBIの人事部に配転させられており、目下、FBI職務規程上の懲戒処分に当るかどうか、司法省監察官の取り調べ結果待ちの状態である。
同氏の代理人であるエイタン・ゴウルマン弁護士は6月19日、暴漢から襲われる恐れから、FBI本庁ビルからの移動に護衛を付けていると表明した。
更に同代理人は、議会公聴会で詰問する議員に対して、FBIに長く勤務したスツォク氏を即座に解雇するよう求める声に耳を傾けるのではなく、また、共和党対民主党の政争の具にすべきではなく、職務規程上の懲戒に当るかどうかを真に問うよう要請した。
なお、スツォク氏とトランプ候補を誹謗するメール交信をしたリサ・ペイジ弁護士は、問題が発覚するや否やFBIを退局しているが、両人は当時不倫関係にあったと言われている。
同日付米『CBSニュース』:「FBIのピーター・スツォク捜査官、懲戒処分の是非につき取り調べを受ける中、移動に護衛付き」
議会公聴会で共和党議員は6月19日、司法省のマイケル・ホロウィッツ監察官に対して、スツォク捜査官とリサ・ペイジ元FBI弁護士間で交信されたトランプ氏を侮辱する様々な遣り取りについて、厳しく問い詰めるよう要求した。
ジム・ジョーダン下院議員(オハイオ州選出)は、ピーター・スツォクがメールの中で、トランプ氏は最低で大ばか者だと侮辱した上、ヒラリー・クリントン氏が1億対1の確率で勝利するに違いない等暴言を吐いていると問題提起した。
また、トゥリー・ゴウディ下院議員(サウスカロライナ州選出)は、偏見に満ちたメール交信で決して許せるものではないと酷評した。
なお、これに対してホロウィッツ監察官は、捜査官の立場にある者が、大統領選であろうと地方選であろうと、このような一方的な見方について遣り取りするのは、誰が見ても問題だと見做すであろうと思われるとコメントした。
一方、スツォク捜査官のゴウルマン代理人弁護士は6月19日、『USAトゥデイ』紙のインタビューに答えて、同氏は愛国者であり、ただ、友人かつ同僚である弁護士と個人的見解についてメール交信してしまったに過ぎないと弁護した。
6月20日付英『デイリィ・メール・オンライン』:「FBIを愛するピーター・スツォク捜査官、同局からの移動に護衛付き」
スツォク捜査官とペイジ弁護士間のメール交信では、後者がトランプ氏の大統領選勝利の可能性はないかと問うたところ、前者は、そんなことは絶対許さないと答えたとされている。
トランプ大統領は6月17日の夜、ピーター・スツォクは“病んだ負け犬”だと呼んだ上で、彼は、“腹黒いヒラリー”をメール問題で無罪放免した挙句、“信用のおけないマラー特別検察官のチーム”に所属していた際、愛人のリサ・ペイジ弁護士と、トランプ候補を絶対勝たせないなどと遣り取りをするとんでもない輩だとツイートしている。
なお、ホロウィッツ監察官は、スツォク捜査官がFBIの捜査に“疑念を持たせて”しまったのは確かだとしながらも、メール交信で言及された政治理念が、捜査結果に影響を及ぼしたとの証拠は見つかっていないとコメントしている。
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