国連は20日、北朝鮮の子供たちの健康状態がわずかに改善していることが、新たな調査により判明したと発表した。国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)が、北朝鮮政府の中央統計局によって実施された同国の8,500以上の世帯の調査データを分析し、報告した。
今回の調査結果によれば、子供の栄養不良を表す主要な指標である発育阻害の状態にある子供の割合(発育阻害率)が、前回調査時の2009年の32.4%から、昨年は19%に低下したとされている。
しかし、慢性的な栄養失調などによる発育阻害率は、北朝鮮国内で相当のバラツキがある。政府などの援助で改善が進む都市と比べ、地方の状況は悪いままであり、首都の平壌では10%だったのに対し、北部の両江道では32%にも上った。...
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今回の調査結果によれば、子供の栄養不良を表す主要な指標である発育阻害の状態にある子供の割合(発育阻害率)が、前回調査時の2009年の32.4%から、昨年は19%に低下したとされている。
しかし、慢性的な栄養失調などによる発育阻害率は、北朝鮮国内で相当のバラツキがある。政府などの援助で改善が進む都市と比べ、地方の状況は悪いままであり、首都の平壌では10%だったのに対し、北部の両江道では32%にも上った。ユニセフは人道的な援助の進展を評価する一方、最新のデータにより、国際機関が同国内での支援の対象を、より効果的に絞ることができるだろうと述べた。
北朝鮮での発育阻害率の全体的な低下は、栄養状態が多少は改善していることを示したが、ユニセフは、生後6カ月から23カ月の子供の3人の内1人しか、求められる最低の栄養を摂取していないと説明しており、北朝鮮の子供たちは引き続き、地方を中心に深刻な健康問題に直面している。
国連が昨年公表した別の報告書では、北朝鮮における慢性的な食料不足の実態が示されており、全人口の約41%、すなわち約1,050万人が栄養失調の状態にあるとされている。今回の調査は1990年代の飢饉の影響についても指摘しており、北朝鮮人口の年齢構成に大きな変化をもたらすほどであったという。当時男児の数が激減した結果、昨年20~24歳の女性が全人口の4%を占めていたのに対し、同年代の男性はわずか2.5%となっている。
今回の報告はまた、北朝鮮の3世帯に1世帯が汚染された飲料水を使用していることも伝えており、これも子供たちの健全な発育にとって大きな脅威となっている。ユニセフは飲料水の問題は、おそらく下水処理システムが未整備であることによるものだと指摘した。
新たな調査で国民の殆どがトイレ設備を使えることが分かったが、93%の設備が下水システムに繋がれていなかった。そして畑では依然として人間の排泄物が肥料として使われており、人間から貴重な栄養素を奪う寄生虫の拡散のリスクもあるという。
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