ドイツのゼーホーファー内相は1日、内相とキリスト教社会同盟(CSU)の党首を辞任する意向を示した。CSUはメルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)と連立を組む保守強硬派の姉妹政党だが、移民問題でメルケル首相と対立してきたゼーホーファー氏が辞任すると、混迷が一層深まり、連立政権の行方が不透明になる恐れがある。
CSUは1日、ミュンヘンで党内会合を開催し、先週行われたEU首脳会議で激論の上メルケル首相が取り付けた、EUへ流入する移民・難民の削減と、加盟国間のいわゆる「二次移住」の抑制の2つの合意事項について、長時間にわたり議論した。
同党はメルケル首相に対し、他の国で既に登録された難民申請者を国境で送還するというCSUの案に同意するか、同様の効果のあるEU合意を締結するよう、1日を期限として、数週間にわたり圧力をかけてきた。...
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CSUは1日、ミュンヘンで党内会合を開催し、先週行われたEU首脳会議で激論の上メルケル首相が取り付けた、EUへ流入する移民・難民の削減と、加盟国間のいわゆる「二次移住」の抑制の2つの合意事項について、長時間にわたり議論した。
同党はメルケル首相に対し、他の国で既に登録された難民申請者を国境で送還するというCSUの案に同意するか、同様の効果のあるEU合意を締結するよう、1日を期限として、数週間にわたり圧力をかけてきた。
ゼーホーファー氏は1日の同党幹部との非公開の会合で、メルケル首相のEU全体での合意と、各国との個別合意が同氏の要求を満たすかどうかについて、30日に首相と会話をしたが、全く成果がなかったと不満を表した。
CSUの関係者によれば、同氏はEU首脳会議での合意にも関わらず、既にドイツが難民申請を却下した、あるいは欧州の他国で難民申請をしたことのある難民など、一部の移民・難民を国境で追い返す以外の選択肢はないとの考えを示したという。メルケル首相は国境での移民・難民の受け入れを拒否する考えには反対している。
ゼーホーファー氏は、「支持が得られない」として、党首と内相の職を辞したいと考えているが、最終決断をする前に再度メルケル首相と難民対策を協議し、合意を目指す方針を2日未明に記者団に対し示した。
もし同氏が辞任すれば、CSUがメルケル首相率いるCDUとの連立政権にとどまり、内相の後任者を出すことになるかは不明だ。CSUが両党の数十年にわたる連合を解消する可能性もあり、そうなるとCDUと社会民主党の2与党だけでは過半数に届かず、メルケル首相は、連立新政権の発足からわずか4カ月で、連立の組み替えや信任投票などの対応を迫られることになる。
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