トランプ政権による、対中国関税賦課政策に伴い、米中間の貿易問題が深刻化してきている。中国は、米国のかかる戦法を逆手にとって、世界貿易機関(WTO)ルールを重視する姿勢を強調し、トランプ政権の一国主義に対して国際的な圧力をかけようとしている。そしてこの程、今年3度目となるWTO提訴を行った旨発表した。今度は、太陽電池パネルに対する30%の関税賦課がWTOルールに反するものだとの主張である。
8月15日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国、太陽電池パネルへの関税賦課が違法だとWTOに提訴」
中国の商務部(省に相当)は8月14日、今年1月に米国が打ち出した太陽電池パネルへの30%の関税賦課は違法だとして、WTOに提訴した旨発表した。
同部によれば、米国内産業を不当に擁護し、公平な市場競争を阻害していると主張した。
トランプ政権は、中国製の他、欧州・カナダ・韓国製の太陽電池パネルが不当な廉価で米国向けに輸出され、米国内産業に被害を与えているとして、当該関税を賦課するとしている。...
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8月15日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「中国、太陽電池パネルへの関税賦課が違法だとWTOに提訴」
中国の商務部(省に相当)は8月14日、今年1月に米国が打ち出した太陽電池パネルへの30%の関税賦課は違法だとして、WTOに提訴した旨発表した。
同部によれば、米国内産業を不当に擁護し、公平な市場競争を阻害していると主張した。
トランプ政権は、中国製の他、欧州・カナダ・韓国製の太陽電池パネルが不当な廉価で米国向けに輸出され、米国内産業に被害を与えているとして、当該関税を賦課するとしている。
米国は、当該製品のダンピング問題についてWTOに提訴する代わりに、1974年制定の米国内通商法に従って関税賦課を宣言している。理由は、WTOが中国側の主張に肩入れしているからだとする。
なお、中国政府はこれまで、米国による一方的な対中制裁政策に対して、2度WTOに提訴している。
7月初め;米国が、米通商法スーパー301条(注後記)に基づき、340億ドル(約3兆7,400億円)相当の中国製品に25%の関税を賦課するとの発動に対して提訴。
7月16日;米国が、2,000億ドル(約22兆円)相当の中国製品(上記とは別の貿易品)に、追加で25%関税を賦課するとの発動に対して提訴。
これに対して米政権も7月16日、中国及び欧州連合(EU)が、米国が鉄鋼・アルミ製品に関税を課したことに対抗して報復関税を賦課したのは不当だとして、WTOに提訴している。
同日付フランス『AFP通信』:「中国、WTOに提訴することで米国発動の太陽電池パネルへの関税賦課政策を攻撃」
中国商務部は、トランプ政権が不当な関税障壁を築くことで、米国内産業に不公正に補助していると責め立てている。
同部は、米国の措置によって中国のエネルギー関連企業が被害を被っているとしている。
なお、中国製の廉価な太陽電池パネルの輸入によって、2016年における太陽光発電量は2012年比3倍となっている。しかし、米通商代表部は今年1月、中国製品が市場価格を60%も下落させたことから、米国内産業が同製品の生産中止、あるいは倒産に追い込まれていると主張していた。
(注)米通商法スーパー301条:1988年包括通商競争力法により、1974年通商法に第310条として追加された、対外制裁に関する条項の一つ。1974年制定の通商法第301条(貿易相手国の不公正な取引慣行に対して当該国と協議することを義務づけ、問題が解決しない場合の制裁について定めた条項)の強化版。
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