ドイツ政府は15日、出生証明書の性別欄に、男女以外の「第3の性」を加える改正法案を閣議決定した。出生を届け出る際に、身体的特徴などから男女の別が明確でない新生児について、多様性を意味する第3の性「ディバース」という項目を選択できるよう変更する内容であり、年内の施行を目指している。
法案では、身体的特徴や染色体の状況などによる性的な形質が、典型的な男女の区分に完全には該当しない「インターセックス」に生まれた子供について、両親が新性別を選択することができ、大人については、記録された性別を新性別に変更することを可能とした。
ドイツ連邦憲法裁判所は昨年11月、記録上は女性とされているが、男女両方の特徴を持つ原告が提起した訴訟の上訴審で、同国憲法の「ドイツ基本法」はインターセックスの人々の人格権を保護しているが、民事上の身分に関する法律に定められた現在の性別区分は差別的であり、そうした人々の権利を侵害しているとの判断を示した。...
全部読む
法案では、身体的特徴や染色体の状況などによる性的な形質が、典型的な男女の区分に完全には該当しない「インターセックス」に生まれた子供について、両親が新性別を選択することができ、大人については、記録された性別を新性別に変更することを可能とした。
ドイツ連邦憲法裁判所は昨年11月、記録上は女性とされているが、男女両方の特徴を持つ原告が提起した訴訟の上訴審で、同国憲法の「ドイツ基本法」はインターセックスの人々の人格権を保護しているが、民事上の身分に関する法律に定められた現在の性別区分は差別的であり、そうした人々の権利を侵害しているとの判断を示した。
ドイツは2013年以来、男女の区分が明確でない子供について、性別欄を空白のままにすることを認めてきたが、連邦憲法裁判所は、第3の類型の性を明確に認めるか、公的な書類や記録から性別欄を完全になくすかのいずれかの方法により、2018年末までに法改正を行うよう議会に命じた。今回の政府の措置はこれを受けてのものである。
カタリナ・バーリー法相は、本法案は長い間の懸案だったが、新たな性別が誕生時から認められるのは大きな前進であると評価している。法相は、「何人もその性同一性に基づき差別されるべきでなない。」として、第3の性により、インターセックスの人々には「尊厳とプラスの自己認識」をさらに持ってもらえると、その意義を強調した。
政府は次に取るべき措置として、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人々の法的地位の明確化を挙げており、インターセックスの人々に関する諸々の法律とともに、まもなく取り組むこととしている。
環境政党である緑の党は、個人が性別を自ら決定できるところまで踏み込んでいないとして、今回の法案では十分でないと批判した。トランスジェンダーの人々の権利保護団体も、法案で新たに認められる大人の性別変更の権利も、その判断を医師の解釈による医学的な証明になお依存しており、政府は変更の歴史的な機会を失ったと述べている。
閉じる