米国防総省は18日、トランプ政権下では初となるサイバー戦略の概要を公表した。中国やロシア他の国々からのサイバー攻撃の脅威に対し、米国の軍事的な優位性や国益を保護することに重点を置いた内容となっている。
新サイバー戦略は、米国は「中国とロシアとの長期の戦略競争に従事している」としているが、同時にイランや北朝鮮を名指しし、「米国に害をもたらし、その利益を脅かすために」サイバー戦争を利用しているとして非難している。
中国については、サイバー攻撃により、米政府や公共機関、民間企業などから機密情報を盗もうとしていると批判した。ロシアについては、サイバー空間で情報操作を行うことによって米国の選挙に介入し、米国民に影響力を行使して、民主的な手続に挑んでいると指摘した。...
全部読む
新サイバー戦略は、米国は「中国とロシアとの長期の戦略競争に従事している」としているが、同時にイランや北朝鮮を名指しし、「米国に害をもたらし、その利益を脅かすために」サイバー戦争を利用しているとして非難している。
中国については、サイバー攻撃により、米政府や公共機関、民間企業などから機密情報を盗もうとしていると批判した。ロシアについては、サイバー空間で情報操作を行うことによって米国の選挙に介入し、米国民に影響力を行使して、民主的な手続に挑んでいると指摘した。
国防総省はこうした各国の動きに対し、「サイバー上での悪意ある行為を、その根源で粉砕し阻止すること」を目的として、「前方で防衛する」ことも辞さないと明言し、先制攻撃もためらわずに行う姿勢を示している。
また、米サイバー軍は、「悪意あるサイバー上の当事者と戦い、これに対して反撃するために、より決定的な力を構築する」ことを目指すとしているが、具体的な対策については触れなかった。但し、サイバー軍は戦時には、「陸海空および宇宙軍とともに」米国の敵国に対し「行動する準備をする」と述べ、軍事的優位性を確保するために、サイバー攻撃を積極的に活用していく方針を示した。
国防総省によるサイバー戦略の策定は、2011年、15年に続き3回目で、現政権になってからは初めてのものである。国防総省は公表に際し、米国は、悪意あるサイバー空間での活動による緊急かつ容認できないリスクに直面していると強調している。
ダン・コーツ国家情報長官は2カ月前に、海外からのサイバー攻撃により、ウォールストリートの金融街が1週間閉鎖された場合や、北東部ニューイングランド地方の送電網に被害が生じて停電が起きた場合などの具体例を挙げ、サイバー上の同時多発テロの可能性についての懸念を表明していた。
閉じる