米国務省は19日、国際的なテロの動向に関する調査結果をまとめた年次報告書(2017年版)を公表したが、これによると、昨年の世界のテロ件数は前年比23%減となり、死者数も27%減となった。イラクでのテロ件数が大きく減少したことが主因とされている。
同報告書によると、2017年には、約100カ国で8,584件のテロが発生し、1万8,753人が死亡したが、比較的少数の国にその多くが集中している。全てのテロ攻撃の59%がアフガニスタン、インド、イラク、パキスタン、フィリピンの5カ国で発生し、死亡者の70%はアフガニスタン、イラク、ナイジェリア、ソマリア、シリアの5カ国で犠牲になった。
イラクでは、過激派組織「イスラム国(IS)」に対し、米国が主導する有志連合の掃討作戦が成功し、テロの件数が大幅に減った。...
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同報告書によると、2017年には、約100カ国で8,584件のテロが発生し、1万8,753人が死亡したが、比較的少数の国にその多くが集中している。全てのテロ攻撃の59%がアフガニスタン、インド、イラク、パキスタン、フィリピンの5カ国で発生し、死亡者の70%はアフガニスタン、イラク、ナイジェリア、ソマリア、シリアの5カ国で犠牲になった。
イラクでは、過激派組織「イスラム国(IS)」に対し、米国が主導する有志連合の掃討作戦が成功し、テロの件数が大幅に減った。ISはテロ組織の中では、最多のテロ攻撃を実行したが、イラクとシリア内での領土のほぼ全てを失い、ISのテロ件数は前年比23%減となり、それによる死者数は53%も減少した。
しかし、米当局者らは、ISは同地域にいつでも戻り復活する可能性があるとして、警戒を呼びかけている。ISの影響を受けた者が、各国で小規模なテロを繰り返していることもあり、報告書は、テロリスト集団は分散して身を潜めており、従来型の軍事行動に感化されて行動することが少なくなったなどとして、情勢は複雑化していると指摘した。過激派組織「アルカイーダ」も静かにその勢力を拡張しているという。
報告書はイランを主要なテロ支援国と名指ししており、国務省は、イランが支援するレバノンのシーア派イスラム組織「ヒズボラ」などが、欧州や南米での襲撃や武器の備蓄に関係していると説明している。
報告書はまた、2017年にパキスタンが、アフガニスタンのイスラム原理主義過激派組織「タリバン」や、その関連の強硬派「ハッカーニ・ネットワーク」のパキスタンでの活動を抑えず、テロの発生を十分に防止しなかったとしている。パキスタンはさらに、イスラム主義の2つのテロ組織、「ラシュカレトイバ」と「ジャイシュ・エ・ムハンマド」が、同国内で公然と資金を確保し、要員を募り訓練を行うのを阻止しなかったと批判した。
トランプ米政権は、軍事援助の停止や外交的圧力などの措置により、そうしたパキスタン政府の行動を変えさせようとしている。
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