ドナルド・トランプ大統領のイラン核合意離脱宣言を受けて、米政府は11月5日からイラン産原油の禁輸措置を含め、対イラン経済制裁を再開する意向である。これに対して日本政府は、日本企業の活動に悪影響を及ぼすとして、これまで4回にわたり米国側と折衝を重ねてきた。一方、イラン産原油に日本以上に大きく依存する中国やインドも、米国に禁輸適用除外を強く求めてきた。そしてこの程ようやく、具体的国名はまだ挙げられていないが、米政府高官が8ヵ国について対イラン制裁再開後もイラン産原油の輸入を認めると発表した。
11月1日付
『ロイター通信』:「日本、米政府とイラン産原油禁輸の適用除外を求めて交渉するも依然確約なし」
菅義偉官房長官は11月1日、米政府が打ち出しているイラン産原油経済制裁再開方針に関わり、日本企業への影響が大きいとして適用除外を求めて折衝を続けてきているが、依然米国側から確約は得られていないと述べた。
ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は10月31日、イランの核開発を諦めさせるため、イラン産原油禁輸措置を再開する意向であるとしながらも、同原油に大きく依存する国々に損害を与えることは望んでいないとコメントしていた。...
全部読む
11月1日付
『ロイター通信』:「日本、米政府とイラン産原油禁輸の適用除外を求めて交渉するも依然確約なし」
菅義偉官房長官は11月1日、米政府が打ち出しているイラン産原油経済制裁再開方針に関わり、日本企業への影響が大きいとして適用除外を求めて折衝を続けてきているが、依然米国側から確約は得られていないと述べた。
ジョン・ボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は10月31日、イランの核開発を諦めさせるため、イラン産原油禁輸措置を再開する意向であるとしながらも、同原油に大きく依存する国々に損害を与えることは望んでいないとコメントしていた。
日本はこれまで、米国の意向を受けて、イラン核合意(2015年7月)以前の2011年には一日当り31万5,000バレルのイラン産原油を輸入していたが、イラン核合意後の2016年においても一日当り22万7,000バレルまで減少させ、更に2017年では一日当り17万2,000バレルまで削減してきていた。
そして、イラン産原油輸入量4位の日本は5位の韓国とともに、直近での同原油輸入を一時的に中止している。
一方、同原油輸入量トップ3の中国、インド、トルコは、輸入停止措置を講じていない。
ただ、中国は、同国石油精製所のプロセスがイラン産原油以外にはうまく適合できないとして米国側に禁輸措置除外を要請している。
また、インド政府高官も11月1日、米政府はインドがイラン産原油を大いに必要としていることを理解してくれているので、適用除外要請は聞き入れてくれるものと信じていると語った。
11月3日付『ボイス・オブ・アメリカ』:「米政府、イラン産原油禁輸措置につき数ヵ国に対して適用除外」
マイク・ポンペオ国務長官は11月2日、11月5日から再開するイラン産原油禁輸措置について、8ヵ国については適用除外とする考えであると表明した。
同長官は、対象となる具体的国名は挙げなかったが、ただ、欧州連合(EU)は適用除外としないとのみコメントした。
これに先立ち『ブルームバーグ』は、米政府高官の話として、日本、韓国、インド、中国が適用除外の対象となっていると報じた。
一方、トルコのエネルギー相は11月2日、トルコもイラン産原油禁輸措置の適用除外対象国となっていると発表している。
なお、米政府が11月5日に再開するとしている対イラン経済制裁に関し、スティーブ・ムニューシン財務相は、イラン核合意の結果緩和されたイラン産原油輸入措置の他、新たに300項目が制裁対象に加えられることになると表明した。
閉じる