安倍晋三首相は1月8日午前、カナダのジャスティン・トルドー首相と電話会談した。外務省発表では、今年大阪で開催される主要20ヵ国首脳会議(G-20サミット)、昨年末に発効した環太平洋経済連携協定(TPP 11)、更には、カナダ市民が中国で拘束されている問題について、相互協力していくことを確認したとされる。しかし、外電はこれらの情報ではなく、むしろ日本が昨年末に国際捕鯨委員会(IWC、注1後記)を脱退し、商業捕鯨を再開する決定について、既に1982年にIWCを脱退しているカナダ首相が懸念を表明したことを報じている。
1月9日付
『AFP通信』:「カナダのトルドー首相、日本の商業捕鯨再開について懸念表明」
カナダのジャスティン・トルドー首相は1月8日、安倍晋三首相との電話会談において、日本が商業捕鯨を再開する件について懸念を表明した。
トルドー首相の事務所が公表した文書によると、同首相は安倍首相に対して、クジラ資源の保存を確保していく上で、国際社会とは協調していくことが重要であると話したとする。...
全部読む
1月9日付
『AFP通信』:「カナダのトルドー首相、日本の商業捕鯨再開について懸念表明」
カナダのジャスティン・トルドー首相は1月8日、安倍晋三首相との電話会談において、日本が商業捕鯨を再開する件について懸念を表明した。
トルドー首相の事務所が公表した文書によると、同首相は安倍首相に対して、クジラ資源の保存を確保していく上で、国際社会とは協調していくことが重要であると話したとする。
昨年12月、日本政府がIWCを脱退し、商業捕鯨を再開するとの決定を発表したことに対して、反捕鯨国を中心に国際社会から非難の声が上がっていた。
ただ、IWCを脱退することにより、日本の商業捕鯨は日本近海及び排他的経済水域(EEZ)内に限定され、かつ、これまで認められていた南極海域での調査捕鯨は許容されない。
なお、1946年に発足したIWCでは、1986年に商業捕鯨モラトリアム(一時停止措置、注2後記)を採択している。
(注1)IWC:1948年11月発効の国際捕鯨取締条約に基づき、クジラ資源の保存及び捕鯨産業の秩序ある発展を図ることを目的として設立された国際機関。日本の条約加入は1951年。現在、世界89ヵ国が加入していて、捕鯨支持国が日本・ノルウェー・ロシア・韓国等35ヵ国であるのに対して、反捕鯨国が米・英・仏・独・蘭・伊・西・印・豪州・NZ・伯・墨国等50ヵ国と過半数を占める(他、中間派3、不明1)。
(注2)商業捕鯨モラトリアム:IWCの記録では、これが採択されたのは1982年で、この年にカナダがこの決議に反対して、正式にIWCを脱退している。なお、記事中にある1986年は、同じくIWC記録によると、日本が同決議への異議申し立てを撤回し、正式に商業捕鯨を終了した年である。
閉じる