先週、米中貿易交渉の次官級協議が3日間続けられ、両国とも感触は良かった模様で、1月内に米国において閣僚級会議を開いて、更なる進捗を目指している。直近で発表された中国貿易統計によると、皮肉にも、2018年の対米輸出超過額は更に拡大しているが、昨夏から始まった両国による関税賦課合戦の影響がいよいよ現出し始めている。
1月14日付
『AFP通信』:「中国、2018年の対米輸出超過額は増加するも関税合戦の影響の影」
中国関税総局が1月14日に公表した統計によると、2018年の対米輸出超過額は3,233億ドル(約34兆9,200億ドル)と2017年の2,758億ドル(約29兆7,900億円)より17%増加した。
これまで中国は、年の後半に大量の大豆を米国から輸入してきたが、昨夏より始まった両国の関税賦課合戦の影響で、同品目の輸入量は前年比▼7.9%減の8,800万トンに留まったことから、皮肉にも対米輸出超過額増に結び付いたものと考えられる。...
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1月14日付
『AFP通信』:「中国、2018年の対米輸出超過額は増加するも関税合戦の影響の影」
中国関税総局が1月14日に公表した統計によると、2018年の対米輸出超過額は3,233億ドル(約34兆9,200億ドル)と2017年の2,758億ドル(約29兆7,900億円)より17%増加した。
これまで中国は、年の後半に大量の大豆を米国から輸入してきたが、昨夏より始まった両国の関税賦課合戦の影響で、同品目の輸入量は前年比▼7.9%減の8,800万トンに留まったことから、皮肉にも対米輸出超過額増に結び付いたものと考えられる。
中国の統計データは、米中首脳会談で合意された90日間の追加関税賦課停止措置に基づき、先週前半に北京で行われた、米中通商に関わる次官級交渉が終わってから明らかになった。
ただ、ホワイトハウスは米中貿易データを把握していた模様で、その意向を踏まえてか、明らかに昨年12月の米国による中国からの輸入高は減少している。
一方、中国商務部長(商務相に相当)は1月11日、中国国営メディアのインタビューに答えて、米中間貿易関係は必ずや今年中に改善させるとコメントしている。
しかし、世界経済の減速及び中国国内の需要減退の影響で、12月の中国の全世界向け輸出高は前年同月比▼4.4%減少し、輸入高は更に▼7.6%落ち込んでいる。
英国経済研究所キャピタル・エコノミクスのジュリアン・エバンス=プリッチャード氏は、世界の経済成長率は今年更に減速するとみられるので、たとえ米中間の貿易紛争が解決に向かったとしても、中国の総輸出高が伸びることはあるまいとみる。
更に、中国の昨年の経済成長率は6.5%と、直近30年間で最低値となっていることから、総輸入高も伸び悩むことが予想される。
実際問題、中国の乗用車販売高は直近20年間で初めて落ち込んでいるが、これは、米中貿易紛争や中国国内の景気後退について、消費者が嫌気したためと分析される。
なお、中国の2018年通しての全世界向け総輸出高は+9.9%だったが、総輸入高が+15.8%伸びたため、結果として中国の対全世界輸出超過額は、▼16.2%減少して3,517億6千万ドル(約38兆1,700億円)に留まっている。
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