米法律事務所ベーカー&マッケンジーと調査会社ロジウム・グループが14日に公表した調査結果によると、2018年に中国の米国に対する直接投資は、前年比83%減の48億ドル(約5,200億円)と大きく落ち込んだ。欧州全体に対する投資も70%減少した。
『CNN』『ブルームバーグ』『ロイター通信』などが報じた同調査の報告書は、中国企業の米国などへの投資が急減しただけではなく、不動産や娯楽関連事業などの資産の売却も記録的なペースで行われていると説明している。
中国の対米投資のピークは2016年の456億ドルだったが、2017年になって減速し、290億ドルに急減、さらに昨年は48億ドルにまで落ち込んだ。中国企業が米国の不動産、輸送、インフラ関連産業などに対して行った多額の投資は、「その大半が消え去った。...
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『CNN』『ブルームバーグ』『ロイター通信』などが報じた同調査の報告書は、中国企業の米国などへの投資が急減しただけではなく、不動産や娯楽関連事業などの資産の売却も記録的なペースで行われていると説明している。
中国の対米投資のピークは2016年の456億ドルだったが、2017年になって減速し、290億ドルに急減、さらに昨年は48億ドルにまで落ち込んだ。中国企業が米国の不動産、輸送、インフラ関連産業などに対して行った多額の投資は、「その大半が消え去った。」と報告書は指摘している。
米国内の中国マネー消失は、中国政府が企業の負債の増加や資本流出をくい止めるために導入した対外投資の抑制政策がその一因である。中国政府は昨年、2014年に米ニューヨークの名門ホテル、ウォルドルフ・アストリアを買収した保険グループ、安邦(Anbang)保険集団に出資し、現在では公的管理下に置いている。また、ドイツ銀行から米ニューヨークの高層ビルに至るまで積極的な買収を手がけ、多額の負債を抱えた複合企業、海航集団(HNAグループ)の投資についても管理を強化した。
米当局も中国の投資について厳しく精査するようになった。昨年トランプ大統領は、対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を拡大し、国家安全保障に関する外国企業の投資の阻止を可能とする法案に署名した。また、最近の米中貿易戦争や政治的な対立も、中国の対米投資減少の要因となっていることは間違いない。
現在協議中の米中二カ国間の貿易協定について最終的な合意に至れば、消費財や医療関連など、国家安全保障のような繊細な問題を含まない分野での投資が、再度増加することが期待される。
昨年、中国の投資が最も減ったのは米国だが、他の地域でも減少している。欧州全体に対する直接投資は70%減少した。しかし、英国、オランダ、スイスなどでは減少したものの、フランス、ドイツ、スペイン、スウェーデンなどでは増加している。最近、中国と対立を深めるカナダでも昨年は大幅に増加し、前年比80%増の27億ドルとなった。
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