ロシアによるクリミア半島併合(注後記)から5年が過ぎようとしているが、ウクライナ東部での同国政府軍と親ロシア派分離独立勢力との武力闘争は依然混迷状態である。ウクライナとしては、同国東部死守のため、裏で糸を引くロシアの謀略を阻止すべく懸命である。そして同国大統領が、ウクライナの欧州連合(EU)及び北大西洋条約機構(NATO)への加盟が必要不可欠だと訴えて、同国市民の信任を得て3月の大統領選再選を勝ち取ろうとしている。
2月9日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ウクライナ大統領、EU及びNATOへの加盟を達成すると宣言」
ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領(53歳)は2月9日、ロシアによる同国自治への介入を阻止するためには、同国がEU及びNATOへ加盟することが必要不可欠だと表明した。
同大統領は、3月31日に予定されている大統領選での再選を目指し、選挙運動を開始するに当り決意表明をしたものである。...
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2月9日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ウクライナ大統領、EU及びNATOへの加盟を達成すると宣言」
ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領(53歳)は2月9日、ロシアによる同国自治への介入を阻止するためには、同国がEU及びNATOへ加盟することが必要不可欠だと表明した。
同大統領は、3月31日に予定されている大統領選での再選を目指し、選挙運動を開始するに当り決意表明をしたものである。
同大統領は更に、ロシアが大統領選に不当介入しようとしているとし、ウラジーミル・プーチン大統領が、同国の自治独立を脅かそうと企んでいると非難した。
そして同大統領は、EU及びNATOに正式加盟することで、同国の自治独立、国益、自由及び幸福が完全に保障されるとも訴えた。
なお、同国選挙管理委員会の2月8日発表では、大統領選への立候補届けが史上最多の44人となっている。
その中には、ユーリヤ・ティモシェンコ元首相(58歳、2007~2010年首相、2010年大統領選に立候補して落選)も名を連ねている。
一方、ウクライナとしてのロシア対抗の動きとして、昨年12月に、何世紀にもわたり傘下にあったロシア正教から分離独立したウクライナ正教が、今月初め、エピファニー1世(40歳)をキエフ総主教庁の首座主教に正式に迎えている。
同日付ウクライナ『ウニアン(ウクライナ独立通信)』:「ポロシェンコ大統領、プーチン大統領がウクライナ大統領選を“ウクライナを呑み込むための総力戦”と捉えていると非難」
ポロシェンコ大統領は2月9日、大統領選キャンペーン開始当日、ロシアが、米国・フランス・ドイツにおける首長選挙、また、英国・オランダにおける国民投票に不当介入したのと同様、ウクライナの大統領選に介入して、“ウクライナをロシア連邦に呑み込むための総力戦”を仕掛けようとしていると非難した。
同大統領は、プーチン大統領がウクライナ大統領選に影響を及ぼし、同国の自治独立を脅かそうとしていることは明白だとも言及した。
そして同大統領は、2014年に起こったクリミア半島併合という悲劇は繰り返させないとも訴えた。
(注)クリミア半島併合:2014年2月下旬に発生したウクライナ騒乱以後、クリミア自治共和国とウクライナ本土の東部2州(ドネツィク州とルハーンシク州)において、ウクライナ政府軍と、親ロシア派武装勢力や反ウクライナ政府組織との間で武力衝突が深刻化。クリミア自治共和国では、衝突初期の2014年2月下旬~3月にかけて行われたロシアによる軍事干渉と、国際的な非難を浴びながら行われた住民投票の結果、同年3月17日にロシアへの編入を求める決議を採択したと宣言。その後、ロシア軍の支配下に置かれ、更にロシアへの編入が宣言された。
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