韓国に拠点を置く国際人権保護団体「転換期正義ワーキンググループ(TJWG)」は11日、北朝鮮による公開処刑に関する報告書を公表した。同報告書は、処刑執行の方法や場所、件数、処刑の理由など、同国の公開処刑の現状についてまとめたものだが、国際社会の圧力の高まりを受けて、執行件数が減った可能性があると分析している。
『AFP通信』『ロイター通信』などのメディアが報じた。北朝鮮は、国民に恐怖心を植え付けるための手段として、公開処刑を利用しているとの批判を長年受けている。金正恩朝鮮労働党委員長は、これまで複数の政権幹部を粛清しており、2013年には、強い影響力を保持していた自らの叔父、張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑した。
韓国・ソウルが拠点のTJWGの報告書は、610人の脱北者の証言に基づき、4年をかけてまとめられた。...
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『AFP通信』『ロイター通信』などのメディアが報じた。北朝鮮は、国民に恐怖心を植え付けるための手段として、公開処刑を利用しているとの批判を長年受けている。金正恩朝鮮労働党委員長は、これまで複数の政権幹部を粛清しており、2013年には、強い影響力を保持していた自らの叔父、張成沢(チャン・ソンテク)氏を処刑した。
韓国・ソウルが拠点のTJWGの報告書は、610人の脱北者の証言に基づき、4年をかけてまとめられた。これによると、公開処刑の理由は様々であり、大半は銅や家畜の牛を盗むなどの軽微な犯罪だが、反国家的な活動や、中国への違法な渡航などの場合もある。
報告書では、同国の少なくとも323カ所の公開処刑場所が特定されている。過去数十年の間に数百件の公開処刑が行われており、直近の執行は2015年だった。同時に10人以上が処刑されたという事例も19件紹介されている。数百人から1,000人以上の人々の前で処刑される場合もあり、7歳の子どもがその場に居合わせたこともあったという。
TJWGは、「公開処刑の規則では、3人の銃殺刑の執行官が3回ずつ発砲し、合計9発の弾丸を死刑囚の体に撃つよう定められている。」と説明した。これは特にエリート層に対して広く用いられている手法で、執行方法に関する情報が国中に拡散することによって、国民に最大限の恐怖を与える狙いがあるとしている。
TJWGは、「公開処刑は、国家の特定の政策を国民に認識させる目的で行われる。しかし、2番目のさらに大きな目的は、一般国民の間に恐怖の文化を吹き込むことだ。」と強調している。
しかし、同報告書は、北朝鮮が国際社会からの厳しい監視などを懸念し、公開処刑の執行件数を抑えざるを得ない状況となっている可能性を指摘した。北朝鮮は死刑の執行数を公表していないが、TJWGは、「2005年以降、公開の絞首刑の執行は停止されたか、少なくとも執行の頻度が著しく落ちたとの情報があり、この変化の背景には、この慣行を終わらせるよう求める国際社会からの圧力があるものとみられる。」と述べた。
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