習近平(シー・チンピン)国家主席は、米中貿易紛争激化はもとより、国内の経済成長鈍化にも遭って、政権の舵取りに行き詰った感がある。そうした中、最も頼りになる盟友であるウラジーミル・プーチン大統領や、将来の大国となりうるインドのナレンドラ・モディ首相も含めた、中国寄りとみられる「上海協力機構(SCO、注後記)」首脳の面々が一堂に会した。習主席としては、彼らとの再会で元気が回復したようである。
6月14日付
『CNNニュース』:「習国家主席、米中貿易紛争に打ちひしがれるも、プーチン大統領・モディ首相と安全保障会議で連携強化」
習近平国家主席は、米中貿易紛争のみならず、国内経済成長鈍化に遭っていささか元気がないようにみえる。
特に、ドナルド・トランプ大統領が追加で発表した、中国製品ほとんど全てに関税を賦課するとの政策が1週間以内に実施される見込みであり、習主席にとって更に気分を滅入らせる事態である。...
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6月14日付
『CNNニュース』:「習国家主席、米中貿易紛争に打ちひしがれるも、プーチン大統領・モディ首相と安全保障会議で連携強化」
習近平国家主席は、米中貿易紛争のみならず、国内経済成長鈍化に遭っていささか元気がないようにみえる。
特に、ドナルド・トランプ大統領が追加で発表した、中国製品ほとんど全てに関税を賦課するとの政策が1週間以内に実施される見込みであり、習主席にとって更に気分を滅入らせる事態である。
そうした中、同国家主席としては、6月14日開催のSCO首脳会議において、“最良かつ腹心の友”であるウラジーミル・プーチン大統領、及び将来の大国となりうるインドのナレンドラ・モディ首相と再会し、連携を強化したいと心から願っているとみられる。
第19回SCOは、ビシケク(キルギス)で6月14、15日に開かれる。
中国国営メディアによれば、中国・ロシア・インド・パキスタン及び中央アジア4ヵ国が主要メンバーとなるSCOは、世界人口のおよそ半分、また、国内総生産(GDP)でも世界の20%以上も占める大規模経済・安全保障協議体であるとする。
今月初め習主席は、ロシアを訪問してプーチン大統領との連携を再確認している。
そこで、今回同主席は、インドのモディ首相との連携に注力するものとみられる。
すなわち、中国はインドと、ヒマラヤ地方での国境問題で長い間争ってきたが、ここ2年程関係は改善しつつある。
背景には、米国一辺倒からの乖離があるとみられ、2018年4月には武漢(ウーハン、中国中部湖北省)において、非公式ながら両国首脳会議を開催して関係強化を協議している。
特に中国にとって、米国から目の敵にされている華為技術(ファーウェイ)の次世代高速移動通信方式5Gのインド向け提供協議がある。
もし、インドが同方式を採用してくれれば、米国主導で西側諸国から不採用とされても、十分それを補うことになるからである。
インド側にしても、海外投資受け入れに熱心で、モディ体制となってから、2018年の外資導入は450億ドル(約4兆9,050億円)と、2014年時の250億ドル(約2兆7,250億円)から倍近くに増えている。
なお、ファーウェイは今月、ロシア最大の移動通信企業MTSとの間で、5G共同開発について契約を締結している。
(注)SCO:中国・ロシア・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタン・インド・パキスタンの8ヵ国による多国間協力組織、もしくは国家連合。面積と人口では世界最大の地域協力組織である。2001年6月15日、中国の上海にて設立されたために「上海」の名を冠するが、本部(事務局)は北京。主要加盟国の他、オブザーバーにイラン、モンゴル、ベラルーシ、アフガニスタンが名を連ねる。
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