ロシア警察は6月上旬、インターネットメディアの記者を違法薬物所持の容疑で逮捕した。しかし、同記者が反腐敗調査報道を行ってきたことから、警察によるでっち上げだとして、市民はもとよりロシアメディアも一斉に抗議の声を上げた。ロシア内務相が証拠不十分として捜査を打ち切り、同記者の自宅軟禁を解除したものの、市民らの不満は収まらず、モスクワ市内でのデモに発展した。ただ、香港で発生した雨傘デモの規模より遥かに少ないとは言え、反政府運動に広がることを恐れてか、ウラジーミル・プーチン大統領はこの程、警察幹部2名を解任して事態の鎮静化を図った。
6月15日付米
『CNNニュース』:「プーチン大統領、抗議運動に困惑、但し、アラブの春ならぬモスクワの春は期待薄」
ウラジーミル・プーチン大統領が権勢を握ってから二十年近くが経つ。
しかし、同政権には、依然驚かされる事態が発生する。
すなわち、ロシア内務省が6月11日、6月上旬に麻薬不法所持で逮捕したジャーナリストのイワン・ゴルノフ氏を、証拠不十分で自宅軟禁を解除しただけでなく、同大統領が6月13日、この不祥事を理由として、モスクワ西地区のアンドレイ・プチコフ警察署長とモスクワ警察麻薬取締部のユーリ・デビャツキン部長を解任したからである。...
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6月15日付米
『CNNニュース』:「プーチン大統領、抗議運動に困惑、但し、アラブの春ならぬモスクワの春は期待薄」
ウラジーミル・プーチン大統領が権勢を握ってから二十年近くが経つ。
しかし、同政権には、依然驚かされる事態が発生する。
すなわち、ロシア内務省が6月11日、6月上旬に麻薬不法所持で逮捕したジャーナリストのイワン・ゴルノフ氏を、証拠不十分で自宅軟禁を解除しただけでなく、同大統領が6月13日、この不祥事を理由として、モスクワ西地区のアンドレイ・プチコフ警察署長とモスクワ警察麻薬取締部のユーリ・デビャツキン部長を解任したからである。
これに先立つ6月12日、ゴルノフ記者を支援するジャーナリストたちが、モスクワ市内での抗議デモを実施し、警察当局によるでっち上げ捜査を非難していた。
また、ロシアメディアも一斉に、今回の逮捕は冤罪だとする記事を掲載した。
そこでプーチン政権としては、モスクワの抗議デモが、先週香港で行われた雨傘デモに比べて遥かに小さい規模であったものの(編注;香港の数十万人だったのに対して、モスクワは数千人規模)、メディアまでも敵に回して、ロシア全土に反政府運動が広がることを懸念し、早期幕引きを図ったものとみられる。
同日付英国『ザ・ガーディアン』紙:「ロシア、“政略的”逮捕劇に非難集中」
ロシア人のゴルノフ記者の逮捕劇が、政権側の“政略的”に仕組まれたものとの非難の声が上がっている。
事態の早期鎮静化を目論んでか、プーチン大統領は、警察当局による同記者訴追撤回から時間をおかずに、事件の責任を取らせるために警察幹部2名を解任した。
しかし、ロシアで最も長い歴史を持つ人権団体メモリアルのアレクサンダー・チェルカソフ代表は、ゴルノフ記者が釈放されたからと言って、根本的問題が解決された訳ではないとする。
何故なら、同団体によると、“政略的”に逮捕・拘留されている人が今現在77人にも上り、そのほとんどが今回のように、ロシアはもとより国際社会からも注目されていないという。
同代表は、拘留されているほとんどの人が麻薬不法所持の罪を問われているが、間違いなく当局によって仕組まれたものだと強調している。
一方、ロシア政府は、かかる非難に対して、ロシア国内に政治犯はいないと主張している。
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