ドイツのマース外相は7月31日、訪問先のポーランドで記者団に対し、ドイツは米国が主導するホルムズ海峡の安全確保を目指す有志連合には「参加しない」と表明した。これに先立ち米国は、英仏両国とともにドイツにも参加するよう正式に要請していた。
独
『DPA通信』のほか、
『ロイター通信』『AFP通信』などが報じた。マース外相はワルシャワで会見し、「米国が提示し、計画している海上任務にドイツは参加しない。」と明言した。マース外相は、同地域の状況は非常に深刻であり、事態の悪化を避けるために、外交的にあらゆる措置を講じるべきだと主張し、「軍事的解決はない。」と強調した。マース氏はまた、欧州主導の行動を重視し、フランスと密接に意見を調整していると明かした。
欧州各国は、昨年トランプ米大統領が、イラン核合意から離脱し、同国への経済制裁を強化する決定をしたことに対し反発しており、ホルムズ海峡でさらに緊張を高める可能性のある米国主導の有志連合に参加することには慎重である。英国は先週、欧州主導の行動を提案していたが、米国は自国を含めた強大な有志連合とするよう圧力をかけていた。
ドイツのメルケル政権は、保守系のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と中道左派の社会民主党(SPD)が連立を組んでいる。同政権内には、特に軍事行動に消極的であり、トランプ米政権にも批判的な社会民主党の議員らから、米国主導の有志連合への参加に対し、根強い反対がある。マース外相は同党の出身だ。
ドイツ政府のデマー報道官は、外相の発言前にベルリンでの閣議後の記者会見で、「政府は米国の提案について慎重であり、参加については未だ明らかにしていない。」と述べた。さらに同報道官は、「我々のイラン政策は、現在の米国の政策とは大きく異なり、外交的解決を求め、イラン核合意を維持したい。参加はこの問題を複雑化する可能性がある。」と否定的見解を示すとともに、欧州主導の活動は「検討に値する」と語っていた。
CDU党首のクランプカレンバウアー新国防相は31日、訪問先のベルギーのブリュッセルで、米国からの要請については精査中で、最終決定はなされていないとしたが、同氏も欧州は米国とは異なった考えであることを強調し、参加の可能性が低いことを示唆した。
第二次世界大戦後、ドイツは海外で行われる軍事活動に参加することには消極的な姿勢を維持してきた。31日に公表された同国内の世論調査でも、ドイツ人の過半数の56%がホルムズ海峡で行われる国際的な軍事活動への参加には反対すると回答している。
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