イランは10日、新たな防空システムを公開した。400キロの範囲内にあるミサイルや無人航空機(ドローン)などを探知する能力があり、ロシアから輸入したとされる監視レーダーを独自に改良したという。対立を深める米国をけん制する狙いがあるとみられる。
同国の準国営通信社「イラン学生通信(ISNA)」や「メヘル(Mehr)」などの地元メディアの報道を受けて、
『AFP通信』や
『ロイター通信』などが伝えた。新防空システムは「ファラク(Falagh)」と呼ばれる移動式の監視レーダーで、軍事専門家らがロシアで製造されたシステムとする「ガンマ(Gamma)」をイランが国内で改良したものだという。
トランプ米大統領は2015年に結ばれたイラン核合意から離脱し、同国に対する経済制裁を再発動したが、それ以降、両国間の緊張が高まっている。...
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同国の準国営通信社「イラン学生通信(ISNA)」や「メヘル(Mehr)」などの地元メディアの報道を受けて、
『AFP通信』や
『ロイター通信』などが伝えた。新防空システムは「ファラク(Falagh)」と呼ばれる移動式の監視レーダーで、軍事専門家らがロシアで製造されたシステムとする「ガンマ(Gamma)」をイランが国内で改良したものだという。
トランプ米大統領は2015年に結ばれたイラン核合意から離脱し、同国に対する経済制裁を再発動したが、それ以降、両国間の緊張が高まっている。イランは6月、米国の監視ドローン「グローバル・ホーク」がイランの領空を侵犯したとして、地対空ミサイルで撃墜した。米国は領空侵犯を否定している。米国はまた、ホルムズ海峡を航行する船舶の安全確保のため、有志連合に参加するよう各国に働きかけている。
イランの最高指導者ハメネイ氏は10日、巡礼を祝う書簡で、全てのイスラム教徒に対し、トランプ米政権が「世紀の機会」と強調する中東和平案に反対するパレスチナの人々を支援するよう呼びかけた。同案は未だ正式に公表されていないが、ハメネイ氏は、「策略」であり「失敗する運命にある」と厳しく批判している。
イランの新防空システム「ファラク」は、そうした緊張の高まりの中で公開された。ロシア製とみられる監視レーダーはこれまで、イランに対する経済制裁のため、交換部品が不足し、外国人技師が修理をすることもできず、稼働させることができていなかった。
イラン防空軍のザバヒファルド司令官は、ファラクの公開式典で、「このレーダーは400キロの範囲内で、全ての型式の巡航ミサイル、ステルス機、ドローン・システム、そして弾道ミサイルを認識し、発見する能力を備えている。」と語った。欧米の軍事専門家らは、イランはしばしば兵器の能力を誇張して説明すると批判している。
ファラクはイランの防空網と接続させ、同国がロシアから調達した長距離地対空ミサイルシステム「S-300」の防衛範囲を補完することが可能だ。イランは主要5か国との核合意を締結した後、「S-300」システムを2016年3月に配備した。
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