世界保健機関(WHO)は13日、今年1~7月の世界の麻疹(はしか)感染者数を発表したが、昨年同期の3倍近くに増加していることが判明した。2006年以降で最も多い人数に達したという。
『AFP通信』などよると、WHOのリンドマイヤー報道官が、スイスのジュネーブで記者団に説明した。1~7月に報告された世界のはしか感染者数は36万4,808人で、昨年同期の12万9,239人の3倍近くに上った。しかし、報告人数は、実際の感染者数の約10分の1に止まると思われるため、WHOは今回の感染者数について特に懸念を示している。
はしかの感染者数は、地域を問わず世界中で増加したが、特にアフリカでは昨年同期比で900%増、西太平洋地域では230%増と急上昇した。...
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『AFP通信』などよると、WHOのリンドマイヤー報道官が、スイスのジュネーブで記者団に説明した。1~7月に報告された世界のはしか感染者数は36万4,808人で、昨年同期の12万9,239人の3倍近くに上った。しかし、報告人数は、実際の感染者数の約10分の1に止まると思われるため、WHOは今回の感染者数について特に懸念を示している。
はしかの感染者数は、地域を問わず世界中で増加したが、特にアフリカでは昨年同期比で900%増、西太平洋地域では230%増と急上昇した。最も多くの感染者が報告されたのは、コンゴ民主共和国、マダガスカル、ウクライナなどで、マダガスカルでは、今年の前半だけで約12万7,500人の感染が報告されたが、国連が呼びかけた国家を挙げての緊急のワクチン接種により、その後急減している。アンゴラ、カメルーン、チャド、カザフスタン、ナイジェリア、フィリピン、スーダン、南スーダン、タイなどでも感染は急増した。
米国で報告された感染者数は、昨年は通年で372人だったが、今年は既に1,164人となり、過去25年間で最高を記録した。欧州では、今年前半の感染者数が9万人近くとなり、昨年通年の8万4,462人を大きく超えている。
はしかは非常に感染力が強く、場合によっては死に至ることもある病気だが、2回のワクチン接種で予防することが可能だ。しかし、最近人々の間には、ワクチン接種を拒否する傾向などもみられ、WHOは接種率が低下していることに対し、警鐘を鳴らしてきた。
はしかは医療の進歩により多くの国で根絶が宣言されたが、はしかなどの3種混合ワクチンと自閉症とを誤って関連付けた反ワクチン運動などによって、感染数が増加している。WHOは、人々がワクチン接種を受けない理由は、国や地域で相当異なり、質の高い医療やワクチン接種が受けられない人々がいる一方で、ワクチンに関する誤った情報や、必要性に関する認識が低いことにより、俗信に惑わされる人々もいるとしている。
WHOは声明で、はしか用のワクチンは「安全で非常に効果的」であると強調し、受けたワクチンが現在も有効であるか確認するよう促した。また、地域や世代間でワクチン接種にバラツキがあれば、接種率が高い地域でも、はしかは蔓延すると警告した。
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