ロシアと中国の両国は20日、米国が新たに実施した中距離巡航ミサイルの発射実験は、軍事的な緊張を高め、軍拡競争を引き起こす危険性があると非難した。米国は2日、冷戦時代の1987年にロシアと締結した中距離核戦力全廃条約(INF条約)を破棄しており、今回のミサイルは同条約で禁止されていた種類のものである。
『ロイター通信』や
『AFP通信』などが報じた。INF条約は冷戦時代の1987年に締結され、翌年発効したものだが、核弾頭および通常弾頭を搭載した地上発射型で、中射程の弾道ミサイルと巡航ミサイルの廃棄を義務付けるものであった。
米国とロシアは、お互いがINF条約に違反していると非難を続けてきたが、今月2日、同条約が失効した。米政府は、中国などの他の大国との合意も必要であるとして、同条約がその妨げになっているとも主張していた。...
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『ロイター通信』や
『AFP通信』などが報じた。INF条約は冷戦時代の1987年に締結され、翌年発効したものだが、核弾頭および通常弾頭を搭載した地上発射型で、中射程の弾道ミサイルと巡航ミサイルの廃棄を義務付けるものであった。
米国とロシアは、お互いがINF条約に違反していると非難を続けてきたが、今月2日、同条約が失効した。米政府は、中国などの他の大国との合意も必要であるとして、同条約がその妨げになっているとも主張していた。
米国防総省は19日、前日に西部カリフォルニア州ロサンゼルス沖のサンニコラス島で、地上発射型の中距離巡航ミサイルの発射実験を行い、ミサイルは500キロ以上先の標的に命中し、実験が成功したことを発表している。同ミサイルは核弾頭を搭載可能で、今回は通常弾頭の構成であったが、INF条約の下で禁じられていた種類のものだった。
これに対し、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、国営タス通信に対し、「米国は明らかに軍事的緊張を高める方向へと舵を切った。我々は挑発には応じない。」と非難し、「我々は犠牲の大きい軍拡競争へと引きずり込まれない。」と宣言した。同次官はさらに、実験は、米国が条約を公式に破棄するずっと前から、そうしたミサイル開発を手掛けていたことを示すものだと述べた。
ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官も、「今回のような実験を数週間或いは数カ月で準備することは単純に不可能だ。このことは、INF条約の破綻をもたらしたのはロシアではなく、米国であることを示している。」と批判した。
中国も米国の発射実験を非難している。同国外務省の耿爽報道官は定例会見で、「米国のこの措置は、新たな軍拡競争のきっかけとなり、軍事的対立の激化につながる。」として、実験は「国際社会や地域の安全保障の現状に深刻な悪影響をもたらす。」と警告した。同報道官はその上で、米国は冷戦思考を捨てて、国際社会や地域の平和と安定に資することをさらにすべきであるとコメントした。
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