ドイツ東部のテューリンゲン州で27日、州議会選挙が実施され、州政権を率いる極左の左派党が第1党となり、極右のドイツのための選択肢(AfD)が第2党に躍進した。メルケル首相が属するキリスト教民主同盟(CDU)は大敗して第3党となる見込みである。
『ロイター通信』や米
『ブルームバーグ』、英
『BBC』などが選挙結果を伝えた。AfDは9月1日に行われた東部ザクセン州とブランデンブルク州の州議会選挙でも、ともに第2党に躍進しており、テューリンゲン州議会選では、国政政権与党であるCDUと社会民主党(SPD)の退潮が目立つ結果となった。メルケル政権は危機感を募らせている。
ドイツの公共放送局ARDの結果予測によると、第1党は得票率29.7%の左派党で、AfDが23.8%で第2党となる見通しだ。メルケル首相率いるCDUは22.5%で第3党に転落した。以下CDUと大連立を組むSPDが8.5%、緑の党が5.4%、自由民主党が5.0%で続いている。この結果は、今後の連立の構成を複雑化するとみられている。
国政で大連立を組む中道右派CDUと中道左派SPDは、揃って前回2014年の選挙時から後退し、CDUは11ポイントも下落した。一方、極右AfDは前回の2倍以上となり、極左の左派党も票を伸ばしたことで、州議会政治の二極化の状況が浮き彫りになった。
2017年の国政選挙で初の議席を獲得したAfDは、東部でさらに党勢の拡大を図っている。同党のテューリンゲン州筆頭候補のビョルン・ヘッケ氏は、出口調査の結果公表後、ARDに対し、「これはテューリンゲン州の大半の人々が、現状の継続は不可であり、再生が必要と明確に示したということだ。このことは深刻にとらえるべきだ。」と強調した。
前回2014年の同州議会選挙では、左派党がSPDと緑の党と連立し、左派党のボド・ラメロウ氏が同党初の州首相となった。ラメロウ氏は、今回も同党が明らかに統治権を得たとして、自分が連立をまとめるとつもりだと述べたが、今回3党だけでは過半数に届かず、同氏が州首相の座にとどまるためには、別の連立を組むことが必要となる見込みだ。
一方、全ての中道政党の票を合わせても過半数には達しない見込みであり、今回極右が再び躍進したことから、CDU内ではポスト・メルケルについての議論が確実に継続すると専門家らは見ている。アンネグレート・クランプ=カレンバウアー氏がCDUの党首になって約1年が経過したが、党内で指導力を十分に発揮できているとは言えず、同党では同氏がメルケル氏の後任首相として適任なのかについての議論が起きているという。
閉じる