既報どおり、今年8月に米ロ間「中距離核戦力全廃条約(INF)」が失効して以来、米ロによる軍拡競争が再燃の兆しを見せている。そうした中、ウラジーミル・プーチン大統領が9月に、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の首脳らに宛てて欧州へのミサイル配備凍結を提案する書簡を送ったことが物議を醸している。すなわち、NATOは、ロシア自らが既に配備しているにも拘らず、かかる提案は全く信用できないと一蹴している。しかし、この程明らかになったことによると、エマニュエル・マクロン大統領は、欧州の安全保障の観点から、無下に拒絶するのではなく、ロシア側との協議のベースにする価値はあるという。
11月28日付米
『ロイター通信』:「フランスのマクロン大統領、プーチン大統領のミサイル配備凍結案に賛同とのニュースを否定」
エマニュエル・マクロン大統領は11月28日、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長と会談した際、今週初めにドイツメディアが報じたニュースに関わり、自身はプーチン大統領のミサイル配備凍結提案に“全く同意していない”と同ニュースを否定した。
ただ、同大統領は、欧州の安全保障を考えた場合、当該提案を無視するのは賢明ではなく、今後のロシア側との協議のベースとすることを考えるべきだと付言した。...
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11月28日付米
『ロイター通信』:「フランスのマクロン大統領、プーチン大統領のミサイル配備凍結案に賛同とのニュースを否定」
エマニュエル・マクロン大統領は11月28日、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長と会談した際、今週初めにドイツメディアが報じたニュースに関わり、自身はプーチン大統領のミサイル配備凍結提案に“全く同意していない”と同ニュースを否定した。
ただ、同大統領は、欧州の安全保障を考えた場合、当該提案を無視するのは賢明ではなく、今後のロシア側との協議のベースとすることを考えるべきだと付言した。
冷戦時代に米・旧ソ連間で締結されたINFの下では、即時対応が難しい310~3,400マイル(496~5,440キロメーター)射程の短・中距離ミサイル配備が禁止されていた。
今年の8月に同条約が失効して以来、欧州においてかかる短・中距離ミサイルが配備される懸念が取り沙汰されている。
そこでマクロン大統領は、欧州の安全保障を確保するため、(米国などの)他国に頼るのではなく、欧州自身が真剣に向き合う必要があると強調した。
一方、NATOは、ロシアが既に短距離ミサイルを配備したとの噂があることから、かかるロシア側提案は全く“信用できない”と主張している。
なお、ロシアメディア『インテルファクス通信』によると、大統領府のドミートリィ・ペスコフ報道官は11月28日、マクロン大統領から返信をもらっていると明かし、詳細は言えないが、ロシア側提案に基づき対話の用意があると記されているという。
また、『タス通信』は、プーチン・マクロン両大統領が12月9日、パリにおいて本提案について協議することになろうと報じている。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「マクロン大統領、プーチン大統領のミサイル配備凍結案を拒否」
プーチン大統領は今年9月、欧州・アジアその他の主要国首脳宛てに、欧州やその他の地域への短・中距離ミサイル配備の凍結を提案する書簡を送付していた。
ロシア外務省のセルゲイ・リャブコフ副大臣によると、NATOによる本提案に対する反応はとても失望させられるものであったという。
NATOは、同提案が現実を無視したものであるため、信用できないとしているとする。
一方、マクロン大統領は、当該提案に賛同していない、としながらも、欧州の“平和と安定のため”に、ロシア側と“明快かつ要求の厳しい協議”をしていく必要があると語っている。
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