ニュージーランド政府は3日、外国からの政治献金の上限額を大幅に引き下げるとともに、政治広告の資金提供者の情報公開を義務付ける法案を発表した。同国は来年に総選挙を控えており、特に中国などの外国による政治干渉への懸念が強まっている。
『ロイター通信』や
『AFP通信』、
『BBC』などが報じた同法案によれば、政党や候補者に対する外国からの献金の限度額は、50ニュージーランドドル(NZ$)(約3,500円)となり、現行のNZ$1,500(約10万6,000円)から大幅に引き下げられる。
ニュージーランドは、来年後半に総選挙の実施を控えている。アンドリュー・リトル法相は声明で、外国からの高額な献金の禁止は、増大する国際的脅威から同国の民主主義を守るためであると強調した。...
全部読む
『ロイター通信』や
『AFP通信』、
『BBC』などが報じた同法案によれば、政党や候補者に対する外国からの献金の限度額は、50ニュージーランドドル(NZ$)(約3,500円)となり、現行のNZ$1,500(約10万6,000円)から大幅に引き下げられる。
ニュージーランドは、来年後半に総選挙の実施を控えている。アンドリュー・リトル法相は声明で、外国からの高額な献金の禁止は、増大する国際的脅威から同国の民主主義を守るためであると強調した。同法相は、「外国の選挙への干渉リスクは、世界的に強まる現象となっており、献金などを含む多彩な形態を取る可能性がある。ニュージーランドもこのリスクを免れるものではない。」と指摘した。
新たな法案ではまた、全てのメディアによる選挙広告の資金提供者について、その名前や住所の公開が義務付けられている。リトル法相によると、これは海外での選挙を妨害してきた「偽ニュースのソーシャルメディア広告の大量配信」を減らすためだという。同法相は、外国からの干渉に対抗するため、同問題を調査している議会委員会からの提案に基づき、さらに措置を取る可能性があると説明した。
ニュージーランドとともに諜報に関する協定「ファイブアイズ」を締結している米国、英国、カナダ、オーストラリアは近年、いずれも外国からの政治干渉をめぐって懸念を表明している。
米英の情報機関は、2016年の米大統領選を含む西側諸国でのいくつかの選挙や内政に、ロシアが干渉したと非難した。ロシアはこれまで、そうした事実はないと完全に否定している。また、オーストラリアは中国の同様の行為を批判しており、外国人による政治献金やロビー活動を規制している。中国もそうした主張を真っ向から否定した。
ニュージーランド政府は今回、特定の脅威を挙げていないが、専門家らは揃って中国を名指ししている。昨年、野党・国民党の党首が、中国企業からのNZ$10万(約707万円)の献金を隠していたと追及され、外国からの政治献金の問題が議論となった。同国の情報機関トップも4月の議会委員会の公聴会で、外国の政治干渉への懸念を示している。
閉じる