12月8日付米
『AP通信』:「ウクライナ、ロシアとの紛争解決に向けた協議に臨み新たな難題」
ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領は12月9日、ついにウラジーミル・プーチン大統領との直接会談に臨むことになる。
ウクライナとロシアは、2014年2月に発生したウクライナ東部紛争(ウクライナ政府と親ロシア分離独立派間紛争、犠牲者1万4千人以上)を契機に5年以上最悪の関係が続いている。...
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12月8日付米
『AP通信』:「ウクライナ、ロシアとの紛争解決に向けた協議に臨み新たな難題」
ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領は12月9日、ついにウラジーミル・プーチン大統領との直接会談に臨むことになる。
ウクライナとロシアは、2014年2月に発生したウクライナ東部紛争(ウクライナ政府と親ロシア分離独立派間紛争、犠牲者1万4千人以上)を契機に5年以上最悪の関係が続いている。
当該紛争解決に向けて12月9日、2016年より途絶えていたNFSが開催されるところとなり、ウクライナ・ロシア両大統領が初めて顔合わせする。
ただ、同会議に臨むゼレンスキー大統領にとって、応援団が極端に少なく、条件的にあまり芳しくない。
まず、同大統領が拠り所としたかったドナルド・トランプ大統領とは、依然直接会談ができていない。
次に、NFSの主要メンバーであるエマニュエル・マクロン大統領が最近、元々ウクライナ領土であったクリミア半島をロシアが一方的に併合したことを原因にして科すことになった対ロシア経済制裁を取り止め、ロシアとの国際取引を再開したいと言い出している。
更に、トランプ大統領の弾劾問題に発生した7月25日のトランプ・ゼレンスキー間電話会談について、NFSの別の主要メンバーであるアンゲラ・メルケル首相が批評したことに対して、ゼレンスキー大統領が真っ向から非難してしまっていることである。
同日付英国『ザ・ガーディアン』紙:「ウクライナ新大統領がパリでロシア大統領と直接会談」
ゼレンスキー大統領は、国内の反発にも拘らず、ウクライナ東部紛争解決を最優先することを公約に掲げて当選した。
そしてこの程、ウクライナの宿敵であるプーチン大統領とパリで直接会談し、東部紛争問題を協議することになるが、うまく運ぶ方に賭ける人は多くない。
すなわち、多くの政治家や政治評論家は、この会談を契機に、ウクライナ東部における緊張が少しは和らぐかも知れないが、一挙に紛争解決に向かうなどは全く期待できないとコメントしている。
何故なら、ゼレンスキー大統領が拠り所としたいトランプ大統領は、目下の宿敵であるプーチン大統領と個人的関係が良好である。
また、応援団として期待したいNFS主要メンバーのマクロン大統領が最近、対ロシア経済制裁取り止めの提案のみならず、元々対旧ソ連を理由に設立された北大西洋条約機構(NATO)について、ロシアを敵視していないとまで言い出しているからである。
(注)ノルマンディ・フォー・サミット:1944年6月6日ノルマンディ上陸作戦70周年記念式典が2014年に開催された際、その年の2月に発生したウクライナ東部紛争の解決を目指して、ロシアとウクライナに、共同仲介者としてドイツ・フランスが加わって協議する枠組みが合意された。以降、この4ヵ国の閣僚が様々な機会に会合し、ウクライナ東部紛争停戦に向けて協議を進めてきている。
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