ドナルド・トランプ大統領は、中国の最先端技術分野での躍進を特に恐れていて、例えばファーウェイ(華為技術)等の進める第5世代移動通信システム(5G)の採用を思い止まるよう米同盟国に呼び掛けている。しかし、東南アジア諸国(ASEAN)の政府職員・大学教授等の有識者のほとんどが、5G含めた中国パワーの影響力がASEAN域内で膨張していることに懸念を抱いていることが分かった。一方で、米中攻防が続く中、むしろ日本と組むことが望ましいと考える有識者が多くいることも判明した。
1月16日付米
『ロイター通信』:「調査報告;米国が撤退する中、中国のASEANにおける影響力が激増」
ASEAN域内の政府職員、大学教授他の有識者に行ったアンケートの結果、ドナルド・トランプ政権下での対アジア政策縮小に伴い、中国による政治・経済面での同域内における影響力が増大していることに懸念を抱いていることが分かった。
1月16日にリリースされた結果によると、アンケートに回答してきた1,300人のうち、60%以上の人が中国への不信感を抱いており、2019年時の52%より増えている。...
全部読む
1月16日付米
『ロイター通信』:「調査報告;米国が撤退する中、中国のASEANにおける影響力が激増」
ASEAN域内の政府職員、大学教授他の有識者に行ったアンケートの結果、ドナルド・トランプ政権下での対アジア政策縮小に伴い、中国による政治・経済面での同域内における影響力が増大していることに懸念を抱いていることが分かった。
1月16日にリリースされた結果によると、アンケートに回答してきた1,300人のうち、60%以上の人が中国への不信感を抱いており、2019年時の52%より増えている。
そしてそのうち40%近くが、中国は“歴史修正主義を貫いて東南アジアを影響下に収め”ようとしているとみている。
特に、南シナ海領有権争いで長く中国と対峙してきた、ベトナムとフィリピンの回答者が最も多く中国への不信感を露わにしていた。
シンガポール在のある専門家は、南シナ海領有権に関わる一方的主張といい、中国製武器取引の増強といい、中国の台頭は自身が標榜しているような“平和と安定”をもたらすものではない、と断言している。
また、5G普及について言及すると、米国が中国のファーウェイ製機器がスパイ活動に使われていると糾弾しているが、ASEAN域内におけるファーウェイ及びその他中国移動通信機器メーカーの勢いは計り知れないとする。
そして、アンケートの結果においても、80%近くの有識者が、中国の経済的影響力が最も大きいと回答しており、これは2019年の73%より増えている。
一方、75%以上が、オバマ政権の時より、トランプ政権下での対東南アジア政策が弱まっていると回答している。
同日付シンガポール『トゥデイ・オンライン』:「調査報告;米中が鎬を削る中、ASEANにとって日本が最良のパートナー」
東南アジア問題研究所(ISEAS、1968年創立、シンガポール拠点)がASEAN域内の有識者らに行ったアンケートの結果が1月16日にリリースされた。
それによると、米国の対アジア重点政策が後退し、代わって中国が影響力を増大してくる状況下、ASEANにとって最良のパートナーは日本ではないか、とみている人が過半数を占めている。
すなわち、ASEAN 10ヵ国における回答者1,300人のうち、61.2%の有識者が、日本は世界の平和と安定、安全保障や統制において“正しいことを行っていく”と信じている。
この数値は、前回アンケート時の65.9%より若干減少してはいるが、全体として50%以上の信頼を得ているのは日本だけとの結果となっている。
また、米国の対アジア政策後退に当たって、ASEANにとってどの国が望ましいパートナーか、との質問に対して、日本と答えたのが31.7%、欧州連合(EU)が20.5%、そして中国と答えたのは20.2%であった。
閉じる