オランダのルッテ首相は26日、第2次世界大戦中にドイツに占領されていた同国がナチスの命令に従い、ユダヤ人を迫害から保護しなかったことを、政府の名の下に謝罪した。同国政府が、戦時中のユダヤ人への行為をめぐり、公式に謝罪したのは初めてである。
『AFP通信』や英
『BBC』、イスラエルメディアなどが報じている。ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を象徴するアウシュビッツ強制収容所がソ連軍によって解放されてから27日で75年が経過した。アウシュビッツでは、ユダヤ人ほかの110万人以上の人々が殺害され、その内10万2,000人がオランダ出身とされている。
オランダのマルク・ルッテ首相は、これに先立ち前日の26日、首都アムステルダムで行われたホロコースト犠牲者の追悼式典で演説し、「最後の生存者らが存命の今、私は政府の名において、当時の当局者らが行ったことについて謝罪する。...
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『AFP通信』や英
『BBC』、イスラエルメディアなどが報じている。ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)を象徴するアウシュビッツ強制収容所がソ連軍によって解放されてから27日で75年が経過した。アウシュビッツでは、ユダヤ人ほかの110万人以上の人々が殺害され、その内10万2,000人がオランダ出身とされている。
オランダのマルク・ルッテ首相は、これに先立ち前日の26日、首都アムステルダムで行われたホロコースト犠牲者の追悼式典で演説し、「最後の生存者らが存命の今、私は政府の名において、当時の当局者らが行ったことについて謝罪する。」と述べた。
ルッテ首相はまた、「わが国の政府機関は、正義と安全の守護者として行動しなかった。一部の当局者らはナチス占領中に抵抗したが、余りにも多くの公務員が占領者の命令を実行した。」と指摘した。さらに、ユダヤ人の保護や支援、認識が少な過ぎたとして、「アウシュビッツ解放から75年経っても、反ユダヤ主義はなお我々の中にある。まさにそのことが、起きたことを十分に認識し、それを声に出して語る理由だ。」と訴えた。
オランダ首相の謝罪は、同国のユダヤ人社会が長らく待ち望んでいたものだった。ホロコースト以前に同国に住んでいたユダヤ人約14万人の内、およそ75%がナチス・ドイツやその協力者によって殺害され、大戦を生き抜いた人々はわずか3万8,000人だったが、オランダ政府は当局がユダヤ人の迫害について果たした役割について謝罪してこなかった。フランス、ベルギー、ルクセンブルクなどの近隣諸国は既に公式に謝罪している。
1995年に同国のベアトリクス女王は、イスラエル議会での演説で、同国の国家元首として初めてオランダ人のホロコーストとの関わりについて言及し、ユダヤ人の同胞を救うために努力したと述べているが、謝罪はしていない。
2010年に首相に就任したルッテ氏も、これまでは謝罪の要求に応じてこなかった。2012年には極右政党の自由党から謝罪を求められたが、大戦中にオランダ政府が取った行動についての情報が十分に得らないとして、公式の謝罪については「幅広い十分な支持がない」と説明していた。
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