米テキサスA&M大学の経済学者らは24日、米国の白人警官は黒人警官より銃器を使用する頻度が高く、黒人が住民の大多数を占めている地域においては、この傾向がさらに顕著になるとの研究結果を発表した。
『ブルームバーグ』『AFP通信』などの報道によると、研究結果は無党派の非営利民間組織、全米経済研究所(NBER)のサイトに24日に掲載され、これまで人種的少数者が多く住む地域の人々が度々主張してきたことが証明された形となった。米国では、白人警官の暴力により黒人市民が殺害される事件が繰り返し発生して批判が高まっており、黒人の人権を保護する「ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命も大切)」運動が起きている。
今回公表された研究論文の執筆者であるテキサスA&M大学の2人の経済学者、マーク・フークストラ教授とカーリーウィル・スローン研究員は、緊急事態対応の任務に当たる場合、白人警官は非白人警官と比べ、平均で60%多く強制的な力を使用し、また銃器を使用する頻度も2倍に上ると指摘した。
2人の研究者はさらに、「白人が多数を占める地域や人種が混在している地域では、白人警官と黒人警官の銃器の使用率は同程度だが、黒人が圧倒的に多い地域では、白人警官の銃器の使用率は5倍になる。」との結果を示した。
研究者らは、これらの結果を算出するために、米国の2つの大都市において、警察官の出動を求めた緊急通報番号911への電話200万件以上の事件内容を入念に分析した。2つの大都市がどこなのかは明らかにされていない。
論文では、これら2都市での緊急通報による事例が、必ずしも米国全体の傾向を表している訳ではないが、「警察全般、特に白人警官らが、メディアや公衆によって厳重に観察されていることを認識している時間帯や場面においても、人種問題が起きている」ことを実証するのに十分な件数であるとしている。
フークストラ氏とスローン氏は、今回の研究結果は「人種は警察が力を行使する重要な決定要因」との市民の一般的な認識を裏付ける厳然たる証拠を提供している、と結論付けた。論文ではさらに、米国の黒人市民の24%が、地元警察を殆ど信用していないとの調査結果についても言及している。
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