既報どおり、懸案だった2020年東京オリンピック・パラリンピックの2021年への延期が漸く決まった。その前後、数多の世界のスポーツイベントが中止、あるいは延期されているが、米メディアが一覧にして報じている。
3月30日付
『ロイター通信』:「新型コロナウィルス感染流行で影響を被った世界のスポーツイベント一覧」
感染拡大が益々深刻化するウィルス禍によって、世界の主だったスポーツイベントが影響を受けている。
<オリンピック・パラリンピック>
●国際オリンピック委員会(IOC)及び安倍晋三首相は先週、2020年東京大会を2021年夏季までの期限で延期することを決定。
<オリンピック予選会>
●米レスリング予選会(4月4~5日予定)延期の発表。
●米ボート競技のチーム予選会が延期。
●米飛び込み予選会(4月3~5日予定)が30日間延期。
<スポーツ仲裁裁判所(CAS、注1後記)>
●審理中の提訴案件は全て5月以降まで審議停止。証人尋問など伴わない文書審理も5月1日まで停止。
<北米におけるスポーツイベント>
●全米プロバスケットボール・リーグの2019-2020年レギュラーシーズン(10月末~翌年4月中旬)の中断。
●北米プロホッケーリーグの2019-2020年レギュラーシーズン(10月上旬~翌年4月上旬)の中断。
●メジャーリーグベースボールの2020年3月26日開幕予定がキャンセルされ、少なくとも8週間延期。
<サッカー>
●欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン会長(スロベニア人弁護士)は、現在中断している欧州サッカー・チャンピオンズリーグ(毎年9月~翌年5月まで行われる、クラブチームによる大陸選手権大会)が6月末までに再開不可能の場合、2019-2020年シーズンは“全成績無効”の扱いとせざるを得ないと発言。
●ユーロ2020(欧州各国の代表チームによる選手権大会)の開催が、今年の6月11日から2021年7月11日まで延期。
●コパ・アメリカ(1916年開始の世界最古の国別代表選手権大会、旧南米選手権)が2021年6月11日~7月11日まで1年延期。
●国際サッカー連盟(FIFA)が、クラブワールドカップ(注2後記)の2021年からの開催頻度(毎年から4年に一度)の変更時期を翌年以降にずらすことに同意。
●アフリカサッカー連盟は、2021年アフリカ大陸選手権大会の予選会(3月25~31日予定)の延期を決定。
●北中米カリブ海サッカー連盟が、チャンピオンズリーグ、オリンピック予選会含めて、全ての試合の中断を決定。
●アジアサッカー連盟が、アジアカップ2020(3月~4月予定)の延期を決定。
●その他、英国プレミアリーグ、ドイツ・ブンデスリーガ、フランス・プロリーグ、スペイン国王杯、トルコ・スーパーリーグ、米メジャーリーグ、日本・中国・韓国各リーグ等全て中断、あるいは延期。
<陸上>
●ダイアモンドリーグ(注3後記)のうち、4~5月に予定された5戦(開催地はカタール、中国、スウェーデン、イタリア、モロッコ)が延期。
●世界室内陸上競技選手権大会(3月13~15日に南京で開催予定)が、2021年3月19~21日開催に変更。
●ロンドンマラソン大会(4月26日予定)が10月4日に延期。
●パリマラソン大会、バルセロナマラソン大会もそれぞれ延期。
●ペン・リレー(1895年開始の最古、かつ最大の米国内陸上競技大会、ペンシルベニア私立大学主催、4月23~25日予定)が史上初の中止決定。マウント・サック・リレー(1959年開始のカリフォルニア州の陸上競技大会)、フロリダ・リレー(1939年開始の大会)、及びテキサス・リレー(1925年開始の大会)も中止。
<野球>
●東京オリンピック出場枠決定の台湾最終予選会(4月予定)が6月17~21日に延期。
●日本のプロ野球の2020年ペナントレースの開催が延期。
<ボクシング>
●欧州、米国等の東京オリンピック代表決定戦が中断。
●英国人アンソニー・ジョシュア選手(WBA・IBF・WBO世界ヘビー級統一王者、30歳)と挑戦者のブルガリア人クブラト・プレフ選手(38歳)とのタイトルマッチは6月20日、英国サッカー・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーのホームグラウンドで開催予定であるが、同リーグの試合延期で同日も同チームの試合が予定されることになる場合、タイトルマッチの方が延期となる可能性。
<バドミントン>
●世界バドミントン連盟は、東京オリンピックの予選会充当の残り5大会の開催を中止し、英国オープン(3月11~15日開催)の成績を基に代表枠を決定すると発表。
<ゴルフ>
●4大メジャー大会のマスターズ(4月9~12日予定)は“然るべき時期”まで、全米プロ(5月14~17日予定)は夏頃まで、また全米オープン(6月18~21日ニューヨークで開催予定)がそれぞれ延期。
●プレーヤーズ・チャンピオンシップ(3月12日からフロリダ州で開催)は初日終了後に中止が決定(編注;初日トップは松山英樹選手)。以降のPGAツアー(注4後記)が主催するトーナメントは、とりあえず5月10日まで中止。
●全米女子プロゴルフ協会(LPGA)主催のホンダLPGAタイランド(2月20~23日)及びHSBC女子世界選手権(2月27日~3月1日、シンガポール)は中止。これに続く、ボルビック・ファウンダーズ・カップ(3月19~22日、アリゾナ州)及びキア・クラシック(3月26~29日、カリフォルニア州、編注;昨年の優勝者は畑岡奈紗選手)は延期。
<競馬>
●ジョッキー・クラブ(1750年設立の英国競馬協会)は、グランド・ナショナル・フェスティバル(4月2~4日予定の競馬障害競走)の中止を発表。
●全米競馬クラシック三冠の第一冠となるケンタッキーダービー(1875年創設、5月2日予定)は9月5日に延期。
●賞金額が世界最高のドバイワールドカップ(3月28日、アラブ首長国連邦)は来年に延期。
<卓球>
●国際卓球連盟は、6月30日まで予定されていた国際ツアーを全て中止。
<テニス>
●全仏オープン(通常5月下旬開催)は9月20日~10月4日に延期。
●男子プロテニス協会(ATP)及び女子テニス協会(WTA)は、6月7日までの全てのツアーを中止。
<水泳>
●2020年欧州水泳選手権(5月11~24日、ハンガリー)は8月まで延期。
<モータースポーツ>
●フォーミュラワン(F-1)は、開幕戦のオーストラリア・グランプリ(3月15日予定)及びモナコ・グランプリ(5月24日予定)を中止し、その他5レースは延期。F-1は、年間22レースのうち、15~18レースは開催したい意向。
●ル・マン24時間レース(6月13~14日、フランス)は9月19~20日に延期。
●インディアナポリス500(500マイル耐久レース、5月24日予定)は8月23日に延期。
<ウィンタースポーツ>
●国際スキー連盟は、男子アルペンスキー・ワールドカップの残りのレースを全て中止。
●女子アイスホッケー世界選手権(3月31日~4月10日、カナダ、編注;日本チームも参戦)は開催中止。
●アイスホッケー世界選手権(5月、スイス)も開催中止。
●スピードスケート世界選手権(ソウル)は早くとも10月まで延期。
●フィギュアスケート・グランプリ・カナダ大会(3月16~22日予定)は中止。
(注1) CAS:IOCによって1984年設立され、スポーツで起きたトラブルを裁判所ではなく、スポーツ界の枠内で解決をめざすことを目的とした一審制の仲裁機関のこと。1994年にIOCから独立、スポーツ仲裁裁判所を運営するスポーツ仲裁国際理事会が設立された。本部はローザンヌ(スイス)。
(注2) クラブワールドカップ:2000年より開始された、FIFA主催の6大陸選手権王者が対戦する国際大会。2021年大会より、毎年開催から4年毎の開催とし、出場枠も24チームに拡大されることになっていた。
(注3) ダイアモンドリーグ:ワールドアスレティックス(旧国際陸上競技連盟IAAF、2019年11月名称変更)が2010年に立ち上げた、全14戦の陸上競技大会で構成される最高峰のリーグ戦。欧州、北米、アジアの11ヵ国、14都市で例年5月~9月に開催される。
(注4) PGAツアー:男子プロゴルフツアーを運営する団体。ツアープロが所属。1968年、ツアー運営のために全米プロゴルフ協会(クラブプロ、レッスンプロ等が所属)から独立。
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