新型コロナウイルスによる死者数が31日、3500人を超えたフランス。その最前線で戦っている医療スタッフを応援しようと、フランス全土で支援の手を伸ばす動きが活発化している。そうした中、プロのシェフやレストランオーナーは料理の差し入れや定期的な食事を提供している。
『ラ デぺシュ』によると、フランス南部にある、ミシュランで2ツ星レストランのオーナーシェフ、ミシェル・サラン氏が、3月下旬に感染症外来の医療スタッフ全員にクロックムッシュ(フランス風トースト)の差し入れした。有名シェフの差し入れに病院スタッフも喜んだという。サラン氏は「ほんのささやかな差し入れだけれど、心温まるものであり、応援していることを伝えることができる。心にやる気と勇気を与えるもので、今医療スタッフが必要としているものだ」と語っている。
『ル モンド』によると、環境保全の観点からレストランを格付けしている団体のメンバーは、エコターブル(Ecotable)は、「医療スタッフが美味しくエネルギーを補給して、力を回復する料理を提供すること」に同意した。持続可能な、環境に配慮した料理を専門とするシェフで構成されたメンバーは、地元近隣の良質な食材を使用し、3月30日からイル・ド・フランス地域圏の病院に毎日500食を配給し始めた。
エコターブルの場合は、今回の危機の中で医療スタッフを助けることだけでなく、持続可能性のある社会的相互扶助のモデルを構築したい考えだ。そのため、食事の配給に携わる全ての人々が、ボランティアではなく給与が支払われる仕組みで営んでいる。
しかし必需品以外の店が営業を停止している中、ボランティアとして支援の手を差し出しているレストランシェフもいる。『ル パリジャン』によると、フランス大統領官邸のシェフが発起人となり、医療スタッフを支援するための団体が設立され、350人のレストランシェフがメンバーとして集まった。コロナウイルスの危機の中、病院スタッフを励ますために、店が閉店中のシェフらは、再び調理場に立ち、イル・ド・フランス地域圏の病院にローテーションで食事を提供している。食材は、地元の市場や卸売業者が無料で提供しており、食事も無料で配給されているという。
こうしたプロのシェフによる食事のおもてなしに、医療スタッフには、ささやかな励ましになる、と非常に好評だという。
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