ドナルド・トランプ大統領が7月30日、新型コロナウィルス(COVID-19)感染流行問題に伴い、11月初めの大統領選について、不正が起きやすい郵便投票が増えることを懸念して投票日の延期を示唆するツイートをした。これには、与野党議員のみならず、ハリウッドの映画監督・俳優・女優等のセレブからも一斉にブーイングの声が上がっている。なお、米大統領選の実施日は議会が決めると憲法で規定され、1845年に制定された連邦法で「11月第1月曜日の次の火曜日」とされており、大統領の権力を以てしても変更はできない。
7月30日付
『ブライトバート』オンラインニュース:「ハリウッドのセレブ、大統領選延期を示唆するトランプ大統領に対して“独裁者の仕業”と一斉に非難」
ドナルド・トランプ大統領は7月30日、“2020年の大統領選で郵便投票が増えることで、史上最も「不正確で欺瞞の」選挙になるので、安全な投票が確保されるまで延期するべき”とツイートした。
これには、大統領選の実施日を決定する権限がある米議会はもとより、日頃から同大統領と対立することが多いハリウッドのセレブ達からも、一斉に非難の声が浴びせられている。
●映画監督マイケル・ムーア氏(66歳、ジャーナリスト、テレビプロデューサー、政治活動家、2003年アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞受賞、2004年カンヌ映画祭パルム・ドール受賞)
“トランプ大統領はホワイトハウスを去りたくないものだから、何とか選挙を延期しようと企んでいる。なお、COVID-19感染流行問題は、大統領として名を挙げる絶好の機会だったが無残にも失敗に終わっている。”
●映画監督ベン・スティラー氏(54歳、俳優、脚本家)
“(投票延期より)大統領として、人種差別問題やCOVID-19感染流行問題解決に専心すべき。”
●映画監督ロブ・ライナー氏(73歳、俳優、脚本家、映画プロデューサー)
“トランプ大統領は嘘つきでいかさま師で、米国人の投票権を奪おうとする「病的な人種差別主義者」だ。選挙で大敗することは決まっている。”
●女優パトリシア・アークエット氏(52歳、2015年アカデミー助演女優賞受賞)
“トランプは女々しい男。選挙で負けたくないものだから、強権で私たちの民主主義や投票権を奪おうとしている。”
●俳優アレック・ボールドウィン氏(62歳、プロデューサー、司会者)
“ガンが消えるまでCTスキャン(コンピューターX線体軸断層撮影)を延期したい。自分に向かって飛んでくる銃弾のスピードを、かわせるほど遅くしたい。解毒剤をがぶ飲みするまで、飲んでしまった毒の効き目を一時ストップさせたい。投票を延期したい・・・。”
●女優ベット・ミドラー氏(74歳、歌手、エミー賞3回、ゴールデングローブ賞4回、トニー賞2回、グラミー賞3回受賞)
“ホワイトハウスの誰も大統領のツイートを知らないのか、大統領に何か言って馘首されるのが怖いと思っているのか、それとも、ジェフリー・エプスタイン事件(注後記)から世間の目を逸らさせようとするため? もしくは、全部が当てはまっているかも知れない。”
●女優チェルシー・ハンドラー氏(45歳、コメディアン)
“郵便投票だと、(2016年時のように)ロシアは助けようがないというの?”
●俳優ジョン・レグイザモ氏(56歳、コメディアン)
“ロシアは紙の投票用紙をハッキングできないから、郵便投票が嫌いなんだね。”
●女優アリッサ・ミラノ氏(47歳、歌手)
“独裁者がやること。米市民は要注意!”
●俳優ドン・チードル氏(55歳、映画監督)
“(延期しようとしても無理)さあ、始まるよ!”
●女優エレン・バーキン氏(66歳、2011年トニー賞演劇助演女優賞受賞)
“選挙を延期したら、トランプの後任がいなくなってしまう。それが彼の真意。”
●脚本家ブライアン・コッペルマン氏(54歳、テレビ番組制作責任者)
“自分の一生の中で大統領から聞いた最も怖い話。これはプーチン・スタイルの排外主義者・独裁者の言葉だ。共和党はどうするつもり、また、私たちはどうしたら良い?”
●脚本家デビッド・サイモン氏(60歳、著述家、ジャーナリスト、2000年エミー賞作品賞受賞)
“いよいよその時(失職)が来たのが分かったね。”
●脚本家パットン・オズワルト氏(51歳、コメディアン、俳優、声優、2016年エミー賞脚本賞受賞)
“ダメ、ドナルド、それは許されない!”
●マジシャン、クリステン・ジョンストン氏(38歳、脱出マジックの名人)
“(選挙結果を)デマと呼べないからと言って、選挙自体をキャンセルする言い訳にはできない。”
(注)ジェフリー・エプスタイン(J・E)事件:J・Eは実業家・投資家だが、2019年に66歳で獄中死。2002~2005年の間、ニューヨークやフロリダ州の自宅で未成年の少女数十人に対する性的暴行罪で起訴され収監されていた。これとは別に、J・Eはトランプ氏とともに2016年4月、カリフォルニア州の女性から、1994年にマンハッタンのJ・Eの邸宅で行われたパーティー中に、当時13歳だった彼女がJ・E及びトランプ氏から性的暴行を受けたとして民事訴訟を提起された。ただこの訴訟は、連邦法の下で有効な申し立てとならなかったため、2016年5月に連邦裁判所判事によって棄却されている。
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