アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、新型肺炎の感染者数の増加が止まらないブエノスアイレス首都圏の強制隔離を更に延長することを決定した。同首都圏は4ヵ月以上にわたって強制隔離措置が取られており、忍耐してきた市民の間で不満が出始めている。また専門家からはこの措置による人々の健康面での2次被害を懸念する声が上がっている。
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『レゼコー』によると、フェルナンデス大統領は7月31日、ブエノスアイレス州の知事やブエノスアイレス自治市長の支援と、最新データを基に「代替案はない」と述べ、ブエノスアイレスの強制隔離を8月16日まで延長することを発表した。
隔離は、大ブエノスアイレス都市圏の約1500万人の住民が対象となり、アルゼンチン国民4400万人のうちの34%の人が5ヵ月間に及ぶ隔離生活を送ることになる。
しかしフェルナンデス大統領は、首都圏で倍増させた新型肺炎対策用の集中治療室の病床は占領率が約 64.5 %、隣国のチリやブラジルと比較して死亡数も抑制できているとし、「アルゼンチンはまだ医療システムが機能し、対応できているので好ましい状況にある」と誇り気に語った。...
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『レゼコー』によると、フェルナンデス大統領は7月31日、ブエノスアイレス州の知事やブエノスアイレス自治市長の支援と、最新データを基に「代替案はない」と述べ、ブエノスアイレスの強制隔離を8月16日まで延長することを発表した。
隔離は、大ブエノスアイレス都市圏の約1500万人の住民が対象となり、アルゼンチン国民4400万人のうちの34%の人が5ヵ月間に及ぶ隔離生活を送ることになる。
しかしフェルナンデス大統領は、首都圏で倍増させた新型肺炎対策用の集中治療室の病床は占領率が約 64.5 %、隣国のチリやブラジルと比較して死亡数も抑制できているとし、「アルゼンチンはまだ医療システムが機能し、対応できているので好ましい状況にある」と誇り気に語った。
しかし、『レゼコー』は、アルゼンチンは勝利からまだ遠いと述べている。7月には過去最高の感染者数を記録しており、死亡者数も増加傾向にあり、隔離措置が再度厳格化の方向に入った。そして、大統領は市民の「気が緩み始めていることは明らかである 」と認めた。
感染症専門家のラミロ・サラザール氏は「政府は、これほど厳格で長期的な隔離生活の遵守を保証することは不可能だ。今人々 は社会的な接触を求めており、もう我慢の限界に来ている」と指摘している。そして、「強制隔離が唯一の解決策ではないはずだ。特に外出規制に伴う他の病気の経過観察の欠如によって、健康被害を拡げることになる」と警告している。
英『ガーディアン』によると、永遠に続いていたアルゼンチンの政治派閥間の争いは、新型肺炎の感染拡大防止のために、強制隔離措置の4ヵ月間は異常なほど静まり、むしろ互いに協力的な姿勢を示していたという。
しかし、4ヵ月経った今、強制隔離措置の緩和を求める声が高まってきており、停戦状態に亀裂が生じ始めているという。新規感染者数の増加に歯止めがかからなくなっているにもかかわらず、故ペロン大統領の支持者と反ペロン派の間で、かつての政治的な対立が再び前面に出てきているのだ。
1ヵ月で感染者数が4倍に増加しており、累計感染者数が19万人を突破し、3,500人以上の死亡者を記録している。ペロン派である現政権は、新型肺炎の感染拡大を思うように抑え込むことが出来ていない。反面、野党と市民は、長期に渡る強制隔離措置の緩和を求め始めており、デモ行進も行うようになった。
アルゼンチンは2018年から経済が不況に陥り、貧困率は35%、インフレ率は2019年には53%に達している。こうした状況下での終わりの見えない新型肺炎の爆発的流行は、アルゼンチン経済と人々の生活にどのような影響をもたらすのか、未知数である。
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