アルメニアとアゼルバイジャンの間で、アゼルバイジャン西部のナゴルノ・カラバフ自治州を巡って戦闘がエスカレートしている。両国は、4日間で100人近くの命が奪われた戦闘について、お互いを非難し続けている。もともとロシア、トルコ、イランなどの大国が競争しあっている地域でもあるため、戦闘の国際化が懸念されている。
『ルモンド』によると、ロシアは9月30日、アゼルバイジャン軍と親アルメニア分離主義者との激しい戦闘が繰り広げられている地域に、非合法な武装グループに属するシリアとリビアの戦闘員が派遣されていると発表した。ロシアは、紛争に関与する国々に対し、「外国のテロリストや傭兵」の雇用を避けるよう促し、「緊張のエスカレートにつながる可能性のある手段について深い懸念」を表明した。
シリアの反政府勢力に近い2つの情報筋は、トルコがアゼルバイジャン軍を支援するために反政府戦闘員を派遣したとロイター通信に語っている。...
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『ルモンド』によると、ロシアは9月30日、アゼルバイジャン軍と親アルメニア分離主義者との激しい戦闘が繰り広げられている地域に、非合法な武装グループに属するシリアとリビアの戦闘員が派遣されていると発表した。ロシアは、紛争に関与する国々に対し、「外国のテロリストや傭兵」の雇用を避けるよう促し、「緊張のエスカレートにつながる可能性のある手段について深い懸念」を表明した。
シリアの反政府勢力に近い2つの情報筋は、トルコがアゼルバイジャン軍を支援するために反政府戦闘員を派遣したとロイター通信に語っている。9月28日付英紙ガーディアンの調査によると、シリアの反政府勢力は、トルコの民間警備会社に雇われてアゼルバイジャンに参加していたという。
シリア人権監視団も9月27日、シリアでトルコ支援の戦闘員がアゼルバイジャン軍と並んで戦うために配備されていたことを確認している。
この紛争に関係する大国の中で、唯一停戦を要求していない国がトルコである。それどころか、アゼルバイジャンの同盟国がカラバフの支配権を武力で奪還することを奨励し、「占領地を回復し、国際法に基づく権利と利益を守る」ことを支援する決意を表明している。
モスクワは29日、トルコが当局に対し「火に油をそそぐ」ことを控え、平和のために働くように呼びかけたが、アゼルバイジャンとアルメニア人が多数住むナゴルノ・カラバフ地域の軍との間では激しい戦闘が続いており、外交関係の緊張が高まってきている。
イスラエル日刊紙『エルサレムポスト』は、トルコがシリア人を利用しようと画策している証拠が増えてきていると報じている。
そして、アゼルバイジャンに送られたシリア戦闘員の多くはシリア政権と戦うことを望んでいた貧しい難民であり、トルコがアゼルバイジャン・アルメニア紛争を乗っ取る試みの一環として利用されていると伝えている。
『エルサレムポスト』によると、トルコはアゼルバイジャンの緊密な同盟国であると主張しているが、リビアやシリアのアフリンで行ったのと同様に、アゼルバイジャンにもシリア戦闘員を投棄したいと考えており、トルコの影響力を行使しながら、歴史的敵対国アルメニアを倒そうとしている。
トルコは過去数年間、自由シリア軍のシリア人戦闘員をトルコ支援の戦闘勢力に変え、シリアのクルド人民防衛隊の一部を「テロリスト」だと主張し、自由シリア軍の戦闘員を戦わせてきたという。
その後も、米国が支援するシリア民主軍(一部クルド人勢力)と戦うためにシリア人戦闘員の募集を続け、2019年12月には、リビアで戦うために彼らを武装させ、訓練し始めたという。1月から7月まで、何千人もの戦闘員をリビアに送られた。しかし、送られた戦闘員の中から、約束された数千ドルが支払われなかったとの不満の声が上がっている。そこでトルコは、行き場をなくした兵士達を今度はコーカサス地方に送り込もうとしているのではないか。
しかし『エルサレムポスト』は、今回の紛争激化で得をするのはトルコだけではないかもしれないと伝えている。ロシアもトルコ支援の反政府シリア軍をシリアから追い出すことで、ロシア支援のアサド政権が前進できる可能性が出てきていると伝えている。
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