米政府機関は、悪意ある組織が医療サービスへのデータ盗難や妨害を起すサイバー攻撃への脅威について警告した。医療ケアへの影響がおきるとして、病院などに対し、対策強化を促している。
10月28日付米国
『U.S.New&World Report』は「アメリカ国内の病院へのサイバー攻撃増加」との見出しで以下のように報道している。
東欧の犯罪者がアメリカの病院へのサイバー攻撃を仕掛けており、政府当局は医療機関へ早急な対策強化を指示している。FBIは、オレゴン、カリフォルニア、ニューヨーク等で起きた最近のサイバー攻撃を調査。これは全国の病院を妨害する目的で作られた組織的攻撃とみられる。毎週のように複数のランサムウェアの攻撃があるのは通常あることだが、これは6か所の病院が同日に攻撃された初めての例。
組織の名前はWizard Spiderまたは UNC 1878だという。サイバー攻撃にあうと、混乱が生じ、患者の命に危険も及ぶことも考えられる。当局は医療機関に対し、バックアップシステム準備、必要ならシステムをネット接続から外す、個人電子メールの使用を避けるよう提言したという。
ランサムウェアへの攻撃は過去3カ月で50%上昇。影響を受けた医療機関は第三四半期に(前期2.3%)より4%増えた。攻撃には共通してRyukやTrickbotと呼ばれるランサムウェアが使われているという。今月、マイクロソフトはTrickbotへの対抗策に成功したとしていたが、その真偽が問われることとなる。
犯行がロシアと関連するかは不明のままだが、プラットフォームを使う政府やギャング、ロシア政府がこのテロ作戦を知っているに違いないとしている。
10月29日付『AP通信』は「米医療機関へのランサムウェア攻撃に警戒感」との見出しで以下のように報道している。
コロナ感染者が急増する中、連邦政府機関は、米国内の医療機関システムを狙ったサイバー犯罪への警戒感を示している。サイバー攻撃にはランサムウェアが使用され、病院情報システムをロックするよう設計されており、患者のケアに影響となるおそれのある。
信頼性のある情報を得たとしてFBIは、米国内の病院や医療従事者へのサイバー犯罪の脅威が高まっていると2つの政府機関に警告。セキュリティの専門家は、今週既に5つの病院が攻撃されているとしている。
過去1年半ほど、バルティモアやアトランタなど大都市、地方政府、学校が特に被害を受けてきた。先月は、Universal Health Servicesの250の病院がサイバー攻撃の被害にあった。職員が紙とペンで記録をとり、ラボの作業が滞ったり、緊急室待機の増加、遠隔バイタル監視装置が使えないなど、患者のケアへ影響が出ているという。またドイツのドュッセルドルフでは、ITシステムが停止し、重体の患者が別の市に回され、ランサムウェア関連で死亡に至った事例もある。
今年は59の医療機関でランラムウェアの影響が確認されており、510の施設で患者のケアに影響しているという。
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