旧ソ連のモルドバで15日、大統領選の決選投票が行われ、前首相で、ヨーロッパ寄りの政策を掲げている野党「行動と連帯」のマイア・サンドゥ党首が、ロシア寄りの現職ドドン氏を破って初当選した。同国で初の女性大統領になる。
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『RFI』によると、サンドゥ氏は57・75%の票を獲得したのに対し、親露派の現職ドドン氏の得票率は42・25%だった。サンドゥ氏は、汚職との容赦ない戦いを約束しており、ヨーロッパで最も貧しい国の一つであるモルドバが欧州連合に加盟できること、海外に働きに出て行ってしまった数百万人のモルドバ人が帰国できるようにすることを公約として掲げている。
サンドゥ氏は旧ソビエト連邦下のモルドバで育ち、母親は音楽教師、父親は獣医だった。...
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『RFI』によると、サンドゥ氏は57・75%の票を獲得したのに対し、親露派の現職ドドン氏の得票率は42・25%だった。サンドゥ氏は、汚職との容赦ない戦いを約束しており、ヨーロッパで最も貧しい国の一つであるモルドバが欧州連合に加盟できること、海外に働きに出て行ってしまった数百万人のモルドバ人が帰国できるようにすることを公約として掲げている。
サンドゥ氏は旧ソビエト連邦下のモルドバで育ち、母親は音楽教師、父親は獣医だった。経済学と法律を学んだ後、米国で国際関係学の修士号を取得している。その後、国連で開発プログラム・コーディネーターを務めた後、世界銀行で働き、モルドバの文部大臣を何度も務めている。2016年には「行動と連帯の党(PAS)」を設立し、2019年に首相を短期間務めた後に、今回の大統領選で勝利した。
同氏が文部大臣を務めていた際、教育機関の腐敗が半減したとされており、今後は国家のトップとして、国内の汚職、貧困、海外への人材流出に終止符を打つために国を改革したいと考えている。
サンドゥ氏はSNS上で、「モルドバは汚職のない良い国になれる。泥棒が罰せられる国。正直な人達が仕事を得、高い給与と年金もある国。子どもが親と一緒に過ごして成長できる国」と語っている。サンドゥ氏はその正義感と高潔さが評判で、国民は改革を推し進めてくれることを期待している。
これに対し『ロシアトゥデイ』は、モルドバ大統領選挙で過去にロシアとの関係に批判的であったリベラル候補のサンドゥ氏が当選したものの、国の外交政策が劇的に変わることはないかもしれないと報じている。
サンドゥ氏は選挙戦で、ドドン大統領の大統領就任によって「EUや米国との関係は悪くなった」と主張していた。「ドドン氏はロシアとだけ良好な関係を築こうとしてきたが、ロシアとの関係でも、国の問題を解決するためではなく、自分の個人的な利益のために利用してきた 」と批判してきた。
名門ロシア国立研究大学経済高等学院の副学部長であるアンドレイ・スズダルツェフ氏は、ロシア政府は「サンドゥ氏の勝利に動揺してはならない。サンドゥ氏は非常に現実的な人物であり、モルドバとロシアが既に築いてきた成果を維持し、発展させようとするだろう」と述べている。また、「モルドバの状況は多かれ少なかれ安定しており、彼女の政党は、過去に国を分断した危機から教訓を学んでいる。彼らは安定と、ロシアに対する好ましい態度を維持したいと願っていると思う」と付け加えた。
雑誌「ロシア・イン・グローバル・アフェアーズ」の編集長であるフィョードル・ルキヤノフ氏は、「モルドバでは何も根本的には変わらない」としながらも、「冷静に、文明的な方法で、権力が移行することは良いことだ」と述べた。
しかし、不在者投票で投票したモルドバのディアスポラの人々が、第一回目の投票で圧倒的にサンドゥ氏を支持し、海外からの得票率が約 70%に達したことに対し、「一般的には、国を離れた人たちや戻りそうにない人たちによって決定されてしまう国の運命は、不幸なものになってしまう」と付け加えている。ルキヤノフ氏は、「彼らにとって、東か西かの選択は、文字通り、どこに行き、どこに住み、どこでお金を稼ぐかという選択である」と説明している。
一方で「The Institute of Political Studies」のセルゲイ・マルコフ氏は、サンドゥ氏は「ロシアの政敵 」であるとコメントしている。サンドゥ氏が教育大臣だった頃、ロシア語を可能な限り英語に置き換えることを指示していたことや、事あるごとにロシアを批判していた、と説明している。
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