フランスの製紙業界は、今年の初めから生産量が8.2%の減少を記録した。フランス製紙会社の連盟である「コパセル(COPACEL)」の会長は17日の会見で、フランスの製紙業界が衰退していく危機があることを指摘した。
『ルフィガロ』によると、コパセルのダデマール会長は17日、「フランス製紙業界の生産量が今年の初めから8.2%減少しており、ヨーロッパでは6.2%減少した」と述べ、ヨーロッパ全体で減少傾向が見られることを報告した。会長は、このままでは業界の衰退によって工場が閉鎖される可能性があると強調した。
「製紙工場が生産量を下げて稼働することは困難だ。過度に競争の激しい業界で、大規模な生産設備を稼働させる重工業に近い工業である」と説明した。...
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『ルフィガロ』によると、コパセルのダデマール会長は17日、「フランス製紙業界の生産量が今年の初めから8.2%減少しており、ヨーロッパでは6.2%減少した」と述べ、ヨーロッパ全体で減少傾向が見られることを報告した。会長は、このままでは業界の衰退によって工場が閉鎖される可能性があると強調した。
「製紙工場が生産量を下げて稼働することは困難だ。過度に競争の激しい業界で、大規模な生産設備を稼働させる重工業に近い工業である」と説明した。 「生産量を減らす場合、固定費がかなりの重荷になる」とし、「したがって、失速のリスクが本当にある」のだと警告した。
そして「80%しか稼働していない工場があり、15~25%の生産量を失っている。これは、国際的な過剰生産能力に陥り、それが閉鎖につながる」と続けた。「最終的に国内で工場が閉鎖されることになれば、産業施設の損失であり、取り戻すことのできないノウハウの損失になる」と語った。
『BFMTV』によると、業界全体では生産量が減少したものの、需要が伸びた部門もある。トイレットペーパーの生産はむしろ好調であり、第1回目のロックダウンだけでなく、2回目の時にもスーパーで不足するほど爆発的に売れた。包装紙も同様に、オンラインショッピングなどのおかげで成長している。
他方で、新聞や雑誌の売り上げの減少により、印刷・情報用紙等のグラフィック系の需要が落ち込んだ。また、テレワークの普及でオフィスペーパーが減少した。全てがリモートで、パソコンでやりとりが行われるようになったために、プリンター用紙の需要が減ってしまっている。また、物理的な会議がなくなったことで、紙文書がPDF化され、ビジネス環境におけるペーパーレス化が加速しているという。
ダデマール会長は、ここ10年の間打撃を受けきたフランスの製紙業界にとって、今回の状況は致命的であると述べた。フランス北部にある230人の従業員が働く100年の歴史を持つ工場も、フランスで100%再生紙を生産する最後の工場であるにも関わらず、買い手を必死に探している。今の状況では工場の明るい未来を想像することは難しいとコメントしている。
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