国連の世界気象機関(WMO)によると、今年は新型コロナウィルスによる世界的ロックダウンの影響で、CO2排出量は減少すると期待されているが、大気中の温室効果ガスの上昇傾向は続いており、減少につながる程の効果は期待できないという。
11月23日付
『ロイター通信』は「国連:新型コロナによるロックダウンにも関わらず、温室効果ガス上昇」との見出しで以下のように報道している。
温室効果ガスの濃度は昨年新記録に達し、今年は新型コロナウィルスによるロックダウンで排出量は減少するも、依然上昇を続けている。
多くの科学者は、年間炭素排出量は大きく減少すると期待する。今年はコロナの影響で飛行機も飛ばず、船も出港停止し、通勤者も減った。...
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11月23日付
『ロイター通信』は「国連:新型コロナによるロックダウンにも関わらず、温室効果ガス上昇」との見出しで以下のように報道している。
温室効果ガスの濃度は昨年新記録に達し、今年は新型コロナウィルスによるロックダウンで排出量は減少するも、依然上昇を続けている。
多くの科学者は、年間炭素排出量は大きく減少すると期待する。今年はコロナの影響で飛行機も飛ばず、船も出港停止し、通勤者も減った。しかし、世界気象機関(WMO)は2020年は“わずかな一時的減少”であり、地球温暖化に影響を与える二酸化炭素濃度への効果は、通常の年と違いが無いと結論づけている。
WMOの気候変動報告書では、「短期的にみると、コロナ封じ込めの影響は自然変動の上では認識できない」としている。WMOは地球温暖化に影響する大気中のガス(二酸化炭素、メタン、二酸化窒素)濃度を測定してしており、2019年、二酸化炭素濃度レベルは、過去最高(140.5ppm)を記録した。2020年の世界的データはまだ出てはいないが、濃度の上昇傾向は変わらないという。
WMOは、世界の炭素排出量が年間4.2~7.5%減少すると予測していた。この数値は、量的変化は期待できないが、一時的に上昇率を遅らせる効果はあるという。一方、WTOの大気環境研究所長オクサナ・タラソワ博士は、「ロックダウン中でも社会経済と人々の消費行動により、非常に高い排出量は保たれている」とも述べている。
同日付英国『BBC』は「気候変動:コロナ禍は二酸化炭素上昇へほぼ影響なし」との見出しで以下のように報道している。
世界気象機関(WMO)によると、コロナ禍における世界的対応は、大気中の二酸化炭素濃度の上昇傾向への変化にほぼ影響しなったという。
今年、ロックダウンによる交通網や産業の停止から炭素排出量は劇的に減少したが、炭素濃度上昇の鈍化の面では部分的な影響としかならなかった。温室効果ガス濃度は過去と現在の排出の蓄積結果による。WMOによれば、昨年のCO2レベルの平均は410.5ppm(前年比2.6ppm増)。これは一昨年前の増加や過去10年の平均よりも大きくなっている。
2020年初旬のロックダウンにより、炭素排出量はピーク時と比べ17%減少したが、全般的に濃度への影響は非常に小さなものに留まった。事前の予測では、二酸化炭素は今年も上昇を続けると思われていたが、増加は0.08~ 0.23ppmに留まっている。これは自然変動の1ppmに収まる値である。ロックダウンに関係した排出量は、長期的グラフで見ればわずかな一時的下落でしかない。
ハワイのマウナロアやタスマニアのグリム岬などの各地の観測所では、パンデミック下でも、濃度上昇が継続していることが分かっている。WMOの事務局長のタアラス教授は、「我々はカーブを継続的に抑えていかなければならない」としながらも、「パンデミックが気候変動の解決策にはならないが、産業やエネルギーや交通システムの劇的変化により、持続可能で有効な気候行動へのプラットフォームを得ることができた。必要な変化は、経済的、技術的に実現可能であり、部分的にでも日常生活に影響を与える事が出来ることを示したのである。」としている。
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