インドネシアでは、Covid19ワクチンの大規模接種に向けた準備を進めているが、高齢者を優先する他国と違い、外出や移動が多い18歳から59歳の勤労世代を優先する方法を取っている。集団免疫を獲得して経済を立て直す計画だという。
1月13日付
『Yahoo』(ロイター通信引用)は「インドネシアは若い世代を優先しワクチン接種」との見出しで以下のように報道している。
インドネシアでは、11日中国のシノバク・バイオテック(Sinovac Biotech)が開発したワクチンの緊急使用を承認。13日大統領が初めてワクチンを接種したのをはじめとし、1.8億人への大規模ワクチン接種を見込んでいる。また、アストラゼネカ、ファイザー、バイオテック社のワクチンも注文している。...
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1月13日付
『Yahoo』(ロイター通信引用)は「インドネシアは若い世代を優先しワクチン接種」との見出しで以下のように報道している。
インドネシアでは、11日中国のシノバク・バイオテック(Sinovac Biotech)が開発したワクチンの緊急使用を承認。13日大統領が初めてワクチンを接種したのをはじめとし、1.8億人への大規模ワクチン接種を見込んでいる。また、アストラゼネカ、ファイザー、バイオテック社のワクチンも注文している。
大統領官邸で最初のワクチン接種を受けたジョコ・ウィドド大統領はスピーチで、「COVID-19のワクチンは感染拡大防止と我々の健康を守る上でという観点から重要だ。国民の心の平和を守り、経済回復の一助となる。高齢者や最前線の人への接種の代わりに、我国は、 若い世代を最優先とする。」等と述べている。
若い世代を焦点としたのには、当局が高齢者ワクチン臨床治験に関する十分なデータがないことも理由の一つ。インドネシアの治験では中国のワクチンの効果は65%となっているが、ブラジルの調査によると効果はわずか50%だ。政府は今回の措置で、コロナ禍で20年ぶりに景気低迷した、経済の回復にも期待を寄せるが、専門家はワクチンで劇的効果は期待できないとする。
インドネシアはアジアで最も感染拡大している国の一つ。12日は300人以上の死者が出ており、一日の感染者数は平均9千人となっており、ワクチン接種や検査と追跡機能の強化が強く求められていた。
同日付英国『BBC』は「インドネシア、若者対象のコロナワクチン接種」との見出しで以下のように報道している。
インドネシアがCovid19の感染拡大を食い止めるべく大規模なワクチン計画を開始したが、他国とは違い、医療従事者の次に、高齢者を優先するのではなく、18~59歳の勤労世代を優先する政策を取っている。まず、59歳のウィドド大統領が13日最初にワクチンを接種。マルフ・アミン副大統領は77歳で高齢のためワクチンを受けないという。
外出し、移動する機会の多い、最もウィルスを拡散させそうな若者を最優先方法を取るこのアプローチで、ワクチンや大量感染により大多数が免疫を獲得することができる集団免疫獲得の可能性が高まるという。コロナ感染の食い止めには、世界の人口の60~70%が免疫を獲得するという条件が必要。ブディ・グナディ・サディキン保健相は、「仕事で多くの人と会う人々に焦点としているバイクタクシー、警察、軍等、最も感染率が高い人々を守るためでもある。経済だけの問題ではない。」とする。
インドネシアの人口は約2.7億人。累計感染者数は東南アジア一である。政府統計では、感染者の約8割が若い世代。学校や政府機関はほぼ1年閉鎖されていたが、政府は経済への打撃を考慮し、厳しいロックダウンには難色を示した。人口の約半数は、非公式なセクターのためテレワーク普及は期待できない。
高齢者保護策として保健省は、家庭内の勤労世代の免疫を獲得することで、同居する高齢者世帯にウィルスを家に持ち込まないのも利点であるとしているが、この方法で感染拡大が防げるかは情報不足である。英政府へ助言する「予防接種・免疫合同委員会」 (JCVI)のRobert Read教授は、英国で若者世代をターゲットとする方法を取っていないのは、1に若者の重症化リスクが低い、2にワクチンの有効性がまだ証明されていない点であるとする。
まだ評価には時間を要するとしながら、オーストラリア国立大学疫病学のPeter Collignon教授は、国情にあわせてワクチンの接種施策を変えるのは有効だとする。「途上国で、ウィルス拡散させる機会の多い、ステイホームを強制できない若い勤労世代を守ることは、妥当な施策だといえる」としている。Read教授は、「先進国が指示することではない。このアプローチは同国にとっては正しい施策である可能性もある。現時点では、世界的に誰もが確信を持てないでいる。」とする。
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