フランスのジャン・カステックス首相は14日、午後6時以降の外出禁止令を16日から少なくとも15日間、フランス東部地域から全土に拡大することを発表した。学校は通常通り開校するが、室内スポーツの授業は中止となる。18日からは、欧州連合(EU)域外から入国する渡航者は、新型コロナウイルス陰性証明の提出も義務付けられる。
フランス金融紙
『レゼコー』によると、フランスでは14日、過去24時間で新型コロナウイルスの新規感染者数は21,228人を記録し、282人が死亡した。現在コロナで入院している患者数は25,017人、24時間で248人増えている。集中治療室で治療を受けた患者数は2,726人、24時間で15人増えている。ウイルスの流行が収束する見通しがない中、カステックス首相は14日、1月頭からフランス東部の一部地域で取られていた午後6時以降の外出禁止令をフランス全土に拡大することを発表した。...
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フランス金融紙
『レゼコー』によると、フランスでは14日、過去24時間で新型コロナウイルスの新規感染者数は21,228人を記録し、282人が死亡した。現在コロナで入院している患者数は25,017人、24時間で248人増えている。集中治療室で治療を受けた患者数は2,726人、24時間で15人増えている。ウイルスの流行が収束する見通しがない中、カステックス首相は14日、1月頭からフランス東部の一部地域で取られていた午後6時以降の外出禁止令をフランス全土に拡大することを発表した。16日土曜日から最低でも15日間続く。
日刊紙『ル・パリジャン』によると、カステックス首相は、フランス本土の96県のうち、すでに午後6時以降の外出禁止令が出されている東部を中心とした25県では、外出禁止が午後8時以降となっている地域に比べて「新規感染者数の増加が2から3倍少ない」と述べ、「この対策は効果があるように思われる」と説明している。
16日以降、薬局を除くすべての店舗、及び図書館を含む公共文化施設が午後6時で閉店することが義務付けられる。この夜間外出禁止令に違反した場合、135ユーロ(約1万7千円)の罰金が科せられ、違反が繰り返された場合は最大3750ユーロ(約47万円)の罰金が科せられる。試験や通院などの必要不可欠な外出理由があれば免除されるが、外出証明書が続けて必要となる。
カステックス首相は14日の会見で、「科学評議会は、外出禁止令の有用性を確認した」として、フランスの状況は 「近隣隣国で観察されている状況と比較して制御されている」が、「ウイルスがまだ積極的に領土内で循環している」ため、状況は不安定だと述べている。
「今後数日で感染状況が急激に悪化した場合、すぐに新たなロックダウンに入ることを決定する」と警告した。
週刊ニュース誌『レクスプレス』によると、外出禁止時間を早めることに対して南フランスの地域からは反対の声が上がっている。フランス南東部のプロバンス=アルプ=コートダジュール地域議会のルノー・ムズリエ議長は、「午後6時開始と午後8時開始の差に感染状況の改善があることを科学的に証明することはできない。」と非難しており、マルセーユのミシェル・リュビロラ副市長も、「無茶な対策を講じることをやめなければならない」と批判している。
医療関係者の中でも、午後6時の外出禁止令の有効性を疑う声が上がっている。パリのピティエ・サルペトリエール病院の感染症部門の責任者であるエリック・コーム医師は、外出禁止時間を2時間早めることが「非常に効果があるとは思えないが、様子を見てみよう」と述べており、疫学者のカトリーヌ・ヒル氏は、「午後6時に早めても大した違いはないだろう。人々を苛立たせるだけで人出が減るわけではなく、感染者数も減ることにはならないだろう。」と語っている。
しかし、パスツール研究所の疫学者シモン・コシュメ氏によると、フランス領ギアナで新型コロナウイルスが流行し始めた昨年5月、当初午後11時から午前5時の外出禁止時間が、6月末には午後7時に早められ、最終的には午後5時に設定された。さらに、土曜日の午後1時から月曜日の朝までも外出禁止となった。「こうした措置で、ウイルスの伝播速度を3分の1に減らすことができた」という。そして、「感染拡大の流れを変え、医療崩壊を招く事態を防ぐことを可能にした」と述べている。
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