反米マドゥロ政権は、トランプ政権が反政府勢力のグアイド国会議長を強烈に支持していたこともあって、米国との関係は最悪となっていた。しかし、新型コロナウィルス感染問題深刻化に伴う不況もあって、米国による経済制裁解除を喉から手が出る程欲している。そこで、ジョージ・ブッシュ大統領(2001~2009年在任の第43代共和党大統領)と犬猿の仲だったウーゴ・チャベス大統領(1999~2013年在任の第53代大統領)が、バラク・オバマ大統領(2009~2017年在任の第44代民主党大統領)とは友好関係を結び、関係修復したことに倣って、マドゥロ政権は、ジョー・バイデン次期大統領(78歳)と良好な関係を築くべく画策している。
1月16日付
『AP通信』:「マドゥロ大統領の親密な同胞、バイデン氏との対話を切望と表明」
ニコライ・マドゥロ大統領(58歳、2013年就任の第54代大統領)の親密な同胞が1月15日、ジョー・バイデン次期大統領率いる米政権が、対ベネズエラ制裁を見直し、関係修復政策を取ることを切望すると訴えた。
今月初めに同国会議長に就任したホルヘ・ロドリゲス氏(55歳)で、米国、欧州連合(EU)及び国内野党勢力から猛批判された昨年12月の総選挙において、与党・統一社会党を大勝利に導いている。...
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1月16日付
『AP通信』:「マドゥロ大統領の親密な同胞、バイデン氏との対話を切望と表明」
ニコライ・マドゥロ大統領(58歳、2013年就任の第54代大統領)の親密な同胞が1月15日、ジョー・バイデン次期大統領率いる米政権が、対ベネズエラ制裁を見直し、関係修復政策を取ることを切望すると訴えた。
今月初めに同国会議長に就任したホルヘ・ロドリゲス氏(55歳)で、米国、欧州連合(EU)及び国内野党勢力から猛批判された昨年12月の総選挙において、与党・統一社会党を大勝利に導いている。
ただ、経済危機に陥っているベネズエラでは、数百万人の難民が国外に逃れ、また、世界最大の原油埋蔵量を有しながら、ガソリン等基本物資が不足する事態が続いている。
従って、同議長は、危機脱却のためにバイデン次期政権に和議を求める旨意思表示した上で、マドゥロ政権は、トランプ政権によって虐げられた4年間ではなく、両国間の関係修復を切望するとし、そうすることによって、在ベネズエラ米大使館の再開や目下拘束中の米国人の解放等も可能となろうと語った。
ベネズエラでは目下、6人のベネズエラ系米国人の石油企業幹部が汚職容疑で、また、2人のグリーン・ベレー(米陸軍特殊部隊)元隊員がマドゥロ大統領誘拐未遂容疑で拘束されている。
しかし、バイデン次期政権が対ベネズエラ政策をどう進めていこうとするのかは不確かで、多分に、トランプ政権が支持していたが昨年の総選挙を経て退任に追い込まれたフアン・グアイド前国会議長(37歳)に対してどういう処遇をするかにかかっているとみられる。
同議長は目下、グアイド氏を投獄するようにとの与党勢力からの要求を拒否し、代わって同氏との協議を望んでいる。
ただ、同議長は、対話の条件として、グアイド氏や野党勢力が、マドゥロ大統領を放逐するとの策謀を諦め、また、外国政府が行っているベネズエラ石油資産の凍結政策を支持することを止めることが必要だと強調している。
同議長は、実妹であるデルシー・ロドリゲス副大統領(51歳)とともに、長年の熱烈なマドゥロ支持者である。
そこで、昨年9月までの3年間は閣僚であった同議長は、マドゥロ独裁政権を後押しした張本人だとして2017~2018年にかけて、米国、カナダ、隣国コロンビアから入国禁止含めた制裁を科されている。
なお、米政治評論家によれば、バイデン次期政権にとって、トランプ政権が導入した“最も厳しい”石油資産に関わる制裁措置を反故にする選択肢しかないだろうという。
何故なら、前政権に倣ってマドゥロ大統領退陣を求めていっても成功する確率は低く、それよりも外交政策の余地を残す方が望ましいと考えられるからであるとする。
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