東京オリンピック・パラリンピック招致活動をめぐっては、同招致委員会がアドバイザー料としてシンガポール在のコンサルタント会社に支払った資金が、招致獲得のための買収に使われた疑いがあり、依然フランス検察及びシンガポール汚職捜査局が捜査している。招致委からの使途不明金は、他にも広告代理店大手の電通(1901年、前身の日本広告設立)の元幹部の会社等に支出されており、解明が進んでいない。そうした中、同じく招致委から資金提供を受けていた一般財団法人が昨年12月末、知らぬ間に活動を終了していたことが判明した。同法人の代表理事には、森喜朗元首相・現東京大会組織委員会会長(83歳)が就任しているが、同氏は昨年、同法人の財務には直接関わっていないとコメントしていた。
1月26日付
『ロイター通信』:「東京大会招致委員会から130万ドルの資金提供を受けていた一般財団法人が知らぬ間に活動終了」
2020年東京大会の招致活動を行っていた招致委員会から、130万ドル(約1億3,500万円)の資金提供を受けていた一般財団法人が昨年12月、活動を終了していたことが分かった。
嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターで、日本オリンピック委員会(JOC)の創設者である嘉納治五郎(注後記)の理念を継承し、スポーツ国際交流・協力等の活動を通して国内外のスポーツの発展を図ることを目的として、2009年に設立されていた。...
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1月26日付
『ロイター通信』:「東京大会招致委員会から130万ドルの資金提供を受けていた一般財団法人が知らぬ間に活動終了」
2020年東京大会の招致活動を行っていた招致委員会から、130万ドル(約1億3,500万円)の資金提供を受けていた一般財団法人が昨年12月、活動を終了していたことが分かった。
嘉納治五郎記念国際スポーツ研究・交流センターで、日本オリンピック委員会(JOC)の創設者である嘉納治五郎(注後記)の理念を継承し、スポーツ国際交流・協力等の活動を通して国内外のスポーツの発展を図ることを目的として、2009年に設立されていた。
『ロイター通信』が昨年報じたように、同法人には招致委から使途不明金が支払われていたが、今回、同法人のウェブサイト上で、昨年12月末を以て活動を終了したことが告知されていた。
同法人の評議員として職員を派遣している東京都の担当者は、活動が終了することについては説明を受けていないし不承知だとコメントしている。
同法人の事務局職員は昨年、『ロイター通信』のインタビューに答えて、招致活動のために米国のコンサルタント会社1社と個人コンサルタント2人と契約を交わしたことを認めていた。
一方、同法人の代表理事を務める森喜朗東京大会組織委員会会長は昨年11月、“同法人の代表理事に就いているものの、財務関係については直接関わっていないので、資金の流れ等は承知していない”と表明していたが、今回の活動終了についての『ロイター通信』照会には、未だ回答はない。
なお、同招致委からは他にも使途不明の資金拠出が取り沙汰されていて、フランス検察局が依然、同招致委からシンガポール在のコンサルタント会社に支払われた230万ドル(約2億4千万円)が国際オリンピック委員会(IOC)委員の買収に使用された容疑について捜査を継続している。
(注)嘉納治五郎:1860~1938年。日本の柔道家、教育者。講道館柔道の創始者であり、柔道・スポーツ・教育分野の発展や日本のオリンピック初参加に尽力するなど、明治から昭和にかけて日本に於けるスポーツの道を開いた。「柔道の父」と呼ばれ、また「日本の体育の父」とも呼ばれる。
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