グーグルの従業員が「アルファ・グローバル」と名付けられた世界的な労組連合を結成した。米国、ドイツ、スイス、スウェーデン、英国など10カ国の従業員を代表する13の組合で構成されている。アマゾンの従業員を含む約2000万人の労働者が加入している国際労働組合の連合体、「ユニグローバルユニオン」と連携して結成された。
仏日刊紙
『ル・フィガロ』によると、今回の結成の数週間前に、グーグルとその親会社であるアルファベットの従業員によって別の組合、「アルファベット労働者組合(AWU)」が結成されたばかりである。この労組は230人のメンバーから今日では700人を超えるまでに成長している。グーグルのソフトウェア・エンジニアで、AWU代表でもあるパルル・クール氏は、「アルファベットのようなグローバル企業で正義のために組合を結成することは、一つの国に収まるような話ではないので、国際的に団結することが非常に大切だ。」と説明している。
アルファ・グローバルの最終的な目標は、「かつてないほどの影響力を持つ会社や企業」に対し、「組合を通じて交渉力を回復する」ことであるという。アルファ・グローバルとAWUは、雇用条件の変革だけでなく、社内の倫理的問題を解決していくことを要求している。昨年12月には、人工知能に関する倫理的な問題を研究している黒人研究者ティムニット・ゲブル氏の解雇を糾弾する書簡に、グーグルの従業員1400人以上と他約2000人の人が署名している。
ユニグローバルユニオンの事務局長クリスティ・ホフマン氏は、「アルファベット社の問題は、同社が生み出した問題であり、一国に限られたものではなく、世界レベルで対処しなければならないものだ 」と話している。
アルファ・グローバルは、今後、特定の国でのコンテンツモデレーターの扱いや、世界各国の従業員に対する秘密保持契約への強制的な署名などの問題に取り組んでいく予定だ。
米技術系ニュースメディアサイト『ザ・ヴァージ』によると、AWUのような過半数に満たない少数派の組合は、従業員同士の連帯感を構築することで力を得ている。正社員だけでなく契約社員も加入は可能だが、全米労働関係委員会によって承認されていないため、経営陣に交渉を強制することはできない。
同様に、アルファ・グローバルも、各国のグーグルの労働者が団結することで力を得ることになる。組合は、アルファベットとの間に法的拘束力のある合意を結ぶだけの力はまだ持っていないが、将来的には労働組合の正式な組織化の試みを支援することを強制する「中立協定」に署名するよう圧力をかけようとするかもしれない。
しかし、中立協定に署名してもらうことも会社に変革を強制するためには必要ないかもしれない。ユニグローバルユニオンは、昨年のブラックフライデーにあわせて、400人以上の議員から支持を得た国際的なストライキ運動Make Amazon Payキャンペーンの組織化を支援した経験がある。ユニグローバルユニオンはアマゾンと法的取り決めは交わしていないが、世界中の労働者を団結させたことで影響力を持つことが出来た。
アイルランドの通信労働組合の運営者Fionnuala Ní Bhrógáin氏は「これらのグローバルテクノロジー企業の権力は、私たちの生活のあらゆる部分に入り込んでいる」と述べている。「グローバル企業が、政府から野放し状態でこのような行動を取っているのなら、彼らのやりたい放題になる。グローバル企業の権力は監視される必要があり、労働者は集団行動を通してのみそれを行うことができる。」と指摘している。
閉じる